2022金沢の旅25 石川国際交流サロン | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

楢丁(YOUTEI) 旅の話

趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2022金沢の旅25
石川国際交流サロン

1/6(木)
 またしても路地裏をぶらぶら行くが、このあたりは、どういう場所だったのか、もう21世紀美術館も近いはずだが、旧横山邸といっただろうか、得体の知れないほどのお屋敷に行き遭った。


旧横山邸の門。横山さんてどんな人だろう?


 ここから裏手に回ると、歴史を感じさせる、木造家屋の多く残る中の一軒に、「石川国際交流サロン」の看板が掛かる。加賀友禅の展示会が開かれていて、入場無料とくれば入らない理由はない。


「石川国際交流サロン」の玄関前

 座敷に上がってみると、すぐにあった展示室は蔵だろうか、ここにかつて七尾で見たことのある「花嫁のれん」が沢山掛かっている。

 

 一画にTVモニターがあり、「徹子の部屋」の番組が流されているが、これにゲストで出演しているのが、これらを集めたコレクターという。


「花嫁のれん」を中心にした展示

 「花嫁のれん」とは、幕末~明治から伝わる、加賀藩の能登・加賀・越中で始まった婚礼の風習の一つで、嫁入りの時に嫁ぎ先の仏間に掛けられ、花嫁がくぐるのれん、ということだ。


「花嫁のれん」とはこういうもの。たった一度のために作られる?らしい


 七尾で見たそれも、婚礼で用いられた後、仕舞われたきりで、以後日の目を見ることのなかった「花嫁のれん」を、再発見しよう、という試みだった。老舗が並ぶ商店街の女将さんたちが声を掛け合って始めた催し物、と覚えているが、不要品として、ただ同然で処分されるそれに大きな価値を見いだし、苦労して集めたという経緯が番組の中で語られていた。

 この人は花園さんという、呉服屋の何代目かだったと思うが、これは確かに慧眼と言うべきだろう。展示されている「花嫁のれん」はどれも素晴らしいテキスタイルの作品、と表現してよく、当然にもそこに用いられた技術は大変高度な伝統工芸、となれば、その意味でこの地域には、無尽蔵のお宝が眠っていることになる。一生に一度の婚礼の品であれば、裕福な家ならかなりの金をかけることも考えられるから、なかには相当な高級品もあることは想像に難くない。


座敷では加賀友禅の展示

 座敷の方では加賀友禅の「木村雨山」という作家さんの作品が展示してあった。これに生け花や水引といった装飾を合わせてある。これもまた見事なもの。



こんな装飾が花を添えていた


 かなり時間をかけて見たように思うが、そのうちに来訪者が増え、このサロンはずいぶんと混み合ってきたので、お暇することにした。

 

 



2022金沢の旅26 金沢21世紀美術館につづく

 

 

※2024年1月1日、能登半島を襲った地震と津波に驚愕した。「花嫁のれん」の七尾も相当の被害を負った様子が報道された。その復興にわずかながらでも協力したいと思う。