2019夏の会津18 中山風穴 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

8/17(土)



 芦ノ牧温泉を過ぎ、下郷町へ入ったあたりだろうか、「中山風穴」の看板を見つけた。既に羽鳥湖方面への分岐を過ぎていたから、下郷町の物産館に寄ろうというつもりで、こっちの道を選んだのかも知れない。


 中山風穴は丘陵地帯の広い範囲に点在しているようで、看板から脇道に入り、車で丘を登っていくと、山腹に広がる公園のようでもあり、ちょっとつかみ所のない感じだ。どん詰まりの駐車場に車を入れると地図の看板があり、1~6号まで指定地が示されている。しかし、地図の距離感がつかめず、どれくらい時間が掛かるか分からないところが不安要素だ。

 

              風穴の説明とともに地図があるが、距離感がまるでつかめない


 駐車場から少し上がったところに展望台?のような鉄筋の構造物が見える。びっしょり濡れたままのテントを荷室に積んでいるが、それを干すのにここは好都合だ。どうせ客はそれほど来そうにないし、よし、とばかりに広げて干した。丁度陽も出てきていることだし、これで小一時間もすればすっかり乾くに違いない。干しきる寸前で雨に当たったヤマドリタケモドキは、陽に焼けて熱い鉄の階段に広げ、車はなるべく木陰を選んで停める。太陽の軌道を読み、陰になる地点を予測するのは章湖の独壇場、これには全幅の信頼を置いている。

 

                探索路はこんな感じ。手前の縄張りは指定地の一部


 今回ばかりは忘れずに「熊鈴」をザックに付け、出発。確か喜多方で購入したこの熊鈴は優秀、足を運ぶたび、キンキンと凄い音がする。それでも木立の中に入ると音は吸収され、大した響きではなくなってしまうのだ。


                         指定地には標柱が


 「風穴」で思い浮かべるのは、普通、「鳴沢風穴」のような洞窟だろう。しかし、ここの場合そういうものとはかなり違った。はじめは意味が分からなかったが、山肌の礫の間から、地下からの冷風が吹き出している地点がいくつかあり、その一帯に、この標高では存在しない高山帯の植生が見られるというのだ。なるほどさっき通過した谷筋は、他よりかなり気温が低いのが分かったが、第4号の指定地というのは縄で区切られたあそこだったのか、といった具合。そんなわけで、学術的に貴重な場所なのには違いなかろうが、観光という観点からは疑問符が3つぐらいつく。

 

                風穴そのものはこんな感じ。礫の間からは冷風が

 

章湖のメモには、「花はほぼ終わっているので、見るべきものはオオタカネバラの実ぐらい、他にヤナギランとサラシナショウマが咲いていた」とある。とりあえず6号指定地を除く他すべて廻り、ちょっとしたトレッキングをしたという充足感は味わった。

 

                         探索路にはこんなところも


 すっかり乾いたテントを撤収し、車でしばらく下ると、行きには気づかなかったが道の端に「冷風体験施設」と記された看板が立ち、そこから降りたところに小屋のようなものがある。ここも風穴の一つ、礫の間から冷気が出ていて、屋根との間は開いているが、礫の壁で囲われているせいで冷気が充満、冷風が白い霧となってたなびく様は、その温度を予感させるに十分。果たして、小屋の中はものすごく寒く、真夏の今でも備え付けの寒暖計が示す気温は4.8℃ほど、開放されたところではそれほどに感じられなかった冷風の威力を思い知った。

 

                          涼しいを通り越し、寒い!


 塔のへつりあたりまで南下すると、さすがは人気の観光地に近いだけあり、沿道にお店が出てくるが、その一つに下郷物産館がある。まあ、道の駅のようなものだが、空腹を感じ、ここの食堂で昼を食べることにした。天ざるそばを頼んだが、文句なしに旨い。こんなところで、と思うが、そばや天ぷらという食い物は、得てしてそんなものなのだ。

 

                そばと天ぷら、旨し! 小鉢がそうめんカボチャの漬け物

 

 それよりも、と言っては何だが、一緒に出された漬け物の歯ごたえがさくさくと極めて印象的、噛むと身がほぐれるような、これは初めての食感だ。食堂のおばちゃんに聞くと、そうめんカボチャを切って、めんつゆに漬けるだけ、と言う。これは旨い。早速、物産館で売っているそうめんカボチャから、小ぶりなものを選んで買った。¥100也。他にキクラゲも名産らしくこれも試しに購入。俺は、つい誘惑に負けてプラムを買ってしまう。


 道を隔てた向こう側には、この季節、桃やブドウ、梨などの果実を商う店がある。店の外にうずたかく箱が積まれた様から、いいものが安く買えるのでは、という期待が膨らむ。店員さんと話をする中で勧められたのが、会津若松産の桃「あかつき」だ。若松は産地としてさほど有名ではないが、この人の、実際に食べてみておいしかった、という言葉が決め手になった。3Lくらいの大きい桃が6個入りで¥1500、これで旨けりゃ安い買い物である。

 

 

2019夏の旅 会津 19につづく