久方ぶりの台湾 その29
烏来
1/2(土)①
朝食のバイキングで、スモークドダックが少しだけ残っていて、その後の補充を待っていたが、期待も空しく、もうこれで終わりだった。青菜はシダの仲間らしく、山菜が日替わりで出てくるのはうれしい。
このくらいで朝食としては十分
今日の目的地は烏来、台北近郊にある山間部の観光地であり、少数民族のタイヤル族の里でもあるという。ガイドブックによれば、烏来へは、MRTで新店まで行き、ここからバスに乗り換える必要がある。
新店の駅に着いたが、烏来行きのバス停がどこにあるのか分からない。駅構内にあるインフォメーションのブースに気がつき、聞いてみると、「この壁の向こうです」と、おそらくは日本語だとこう言えばいい、というセリフが用意されていたのだろう。言っている本人が日本語を理解しているとは思えない話しぶりだったが、聞いているこっちには意味が分かった。あ、そうなんだということで、烏来の観光地図をもらい、インフォメーション壁裏の車道に出てみれば、まさしくそこが烏来行きのバス乗り場だった。
ここから烏来へ向かう観光客は多く、バスはかなり混んでいる状態で出発、章子の座る席は確保できたが、俺はちょっと離れた吊革につかまった。はじめは町場を走っていたが、次第に周囲は山間の様子を見せ始め、しまいには九十九折りの山道になってしまう。当然ながら左右に揺られ、不覚にも車酔い気味になってしまった。揺られること30分くらいだったろうか、多摩川上流くらいの水量がある川の畔の終点「烏来」に着いた。
烏来バス停の近くで
バスを降りるとすぐ、タクシーの運ちゃんが近寄ってきて、「トロッコはお休み」と声をかけられる。そんなわけないだろ、と無視するが、台湾でもこんな嘘つく輩がいるんだ、とその時は思ったものだった。
川向こうにあるトロッコの駅に至る道沿いは観光商店街を形成していて、支流に架かる橋を渡るあたりからは、観光客もたくさん、バス停先の駐車場が車で満杯だったのを裏付けている。
観光商店街には食べ物屋さんがいっぱい
火鍋屋さんの店先には鍋に入れる野菜が何種類も並べられているが、その中にオオタニワタリや、今朝朝食に出た青菜を含め、何種類も山菜類があった。さすがに山里ということなのだろう、平野部の街とはひと味違う感じが漂う。きちんと食事をしてしまうのを嫌う我々は、ちょっとつまめるものを物色して歩く。
街場ではあまり見かけない山菜がいっぱい
商店街に架かる橋から川を見ると、何となく妙な感じを受ける。後から撮影した写真を見れば一目瞭然なのだが、それがどう「妙」なのか、一瞥しただけの俺は、このときはまだそれに気づいてはいなかった。
橋から見た図ではないが、なんとなく荒れた印象
二本目の橋の手前、商店街の終わりまで行き、このあたりの名物らしい、イノシシの?ソーセージを食べてみることにした。ソーセージを商う露店は2つあり、両方とも行列している。
ソーセージの店には行列が出来ていた
馬告という香辛料と、山レモンはここの特産といい、スタンダードのと併せ3種類注文、100元。焦げを取ったり、串を刺し替えたりと丁寧に焼いている様子だったが、うち一本はすっかり冷めていた。すべては客寄せのためのパフォーマンスということか。
イノシシ肉?のソーセージをほおばる
橋を渡った先にトロッコの駅があるのだが、なんと、運休は本当だった。近くにはタクシーの運ちゃんとおぼしき男が数人、そっちは行けないよ、と声をかけてくるが、多くは川沿いの道を上流に歩いていく様子なので、我々もその流れに乗ってみた。どうせ、通行止めは車だけだろうと高をくくっていたところが、本当に道はふさがれていて、仕方なく引き返し、かなり高い値段を提示するタクシーに乗らざるを得なくなった。川伝いに行くことが出来ないせいで、我々を乗せた車は山側の迂回路を延々走っていく。山の斜面にも崩れたところがあり、重機が出て工事をしている箇所がいくつか確認できた。
これは、何か大変な災害に見舞われたのかな、ということがだんだん分かってくる。
久方ぶりの台湾 その30 瀑布公園につづく