2018夏新潟~山形26 松ヶ岡開墾場1 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2018夏の旅 新潟北部~山形中西部(8/9~18)その26
松ヶ岡開墾場1

8/14(水)①
 テン場裏の藪から先へは、道と呼べるほどではないが草が刈り込まれていて、河原に降り立つことが出来る。とはいえ、赤川はいつ降った雨の影響か分からないが、遠目にも泥濁りはかなりヘビー。河原の石もすっかり泥を被り、降りてみようという気にもならない。

 

                         この藪の奥に川に降りる道がついている

 

 大雨の後、なかなか濁りがとれないのは、上流にダムがあるのが原因という場合が多い。ダム建設を進めたい国土交通省などは、ダムを造ると川がよくなるような宣伝をするが、あんなの嘘っぱちもいいところだ。これでは鮎釣りも絶望だな。


 昨日もそうだったが、グラウンドゴルフ場は5時半~7時がピーク、7時を過ぎると5,6台はあった車がすっかりなくなってしまう。


 テン場を出発してすぐの橋のたもとに、黒川能展示館の看板が立っていた。この川は赤川、なんで黒川能?というので印象に残ったのかも知れないが、地域に伝承された能舞台でもあるのだろうか。結局ここに寄れずにしまったのは、後から思えば惜しくもあった。


 今日は松ヶ岡開墾場へ。開館は9時というが、我々が到着したのが丁度その時刻、しかしまだ閉まっている店が多い。昔来たときの記憶を探るが、その時とはきっと様変わりしていることだろう。

 

                            松ヶ岡開墾場入り口にて

 

 かつて養蚕に使われた大きな建物が5棟残っているが、まずは一番奥の「庄内映画村資料館」に向かう。「松ヶ岡開墾場記念館」との共通券¥800。入り口は土間、ここでスリッパに履き替えて上がるわけだが、感じとしては、昔、小学校がまだ木造の校舎だった頃をふと思い浮かべさせられるもの、と言えばいいだろうか。

 

                              庄内映画村資料館


 展示は混沌としている。1960年代くらいの作品から現代に至る映画のポスターや解説が所狭しと貼られているのだが、とても洗練されたものとは言いがたい。しかし、木造の、この建物と映画のポスターの図柄などが相俟って、それが却って猥雑な、いわば昭和のノスタルジックな雰囲気を醸し出している、と表現できなくもない。

 

                           庄内映画村資料館内部のポスター


 ほぼ真ん中にブースが作られ、50インチほどの画面に、ここに協賛する映画の予告編などが編集されて映し出されているが、ひどく画質の解像度が悪いため、見ようという気にならない。今時、これはあり得ないだろう。何か設定が悪いか機器の不具合だろうと思うが、受付のおばちゃんに言っても、多分解決できそうにはないと踏み、敢えて苦情を言うのはやめた。

 

                           庄内映画村資料館の展示風景


 奥の方の隅っこには、小さなブラウン管TVに、二代にわたって映画監督だった、マキノ雅弘の親父さんから始まる、草創期の京都撮影所にまつわる物語が流されていた。嵐寛寿郎がインタビューに応えているような、まあ大時代のものだが、しかしこれなども、もうちょっと上手い活用の仕方がないだろうか。映像そのものは、資料としては貴重と思う。

 

                        「デンデラ」の撮影で使われた衣装


 羽黒山の行き帰りに「SEDIC」という映画撮影所の看板を確認していたが、そこで撮影された映画のいくつかが大きく取り上げられていた。ここに映画資料館が開設されたのも、その撮影所あってのことだろう。

 

 2階には、「デンデラ」、「おくりびと」、「SUKIYAKI WESTERNジャンゴ」、「十三人の刺客」、「女座頭市」、藤沢周平原作の映画や、山形が舞台になったドラマ「おしん」などだが、撮影に使用した衣装やメイク、ストーリーや登場人物の解説が展開されていた。中でも、「SUKIYAKI WESTERNジャンゴ」は撮影に使われたセットがそのまま設置されているようで、登場人物の人型パネルが並ぶなど、大きく紹介されている。しかし、ほとんどが見たことのない映画だったから、もうひとつ入り込めないところに恨みが残る。我々は「おくりびと」に使用されたお棺に章湖が入って写真に撮った程度だったが、当該の映画ファンにとっては、興味深い展示には違いなかろう。

 

     「おくりびと」で使われたお棺に収まってみた。縁起でもない、といわれそうだが、いずれはみんなこうなる


 隅の一画にはミニシアターといった趣のスペースが作られ、このときは昭和40年代のテレビニュースを編集したものがスクリーンに映し出されていた。モノクロの映像で「多摩ニュータウンの入居」、「大阪万博」、「ホットパンツの流行」、「新人バスガイドの修行」といった、高度成長期の、いかにも「昭和」を思わせる内容。しかし、せっかくフロア型の大型スピーカーが設置されているにもかかわらず、しょぼい音が上のプロジェクターから聞こえてくるという、そこが気に入らない。昭和のその頃といえば、みんな大型のステレオ装置にあこがれ、こぞってなけなしの金をはたいて、「コンポ」と呼ばれたステレオを家に備えたものだ。

 

 さっきのモニターの画質もそうだが、展示そのものはまあ、笑いを誘うようなものであってもいいから、こういう基本的なところはしっかりやって欲しいと切に願う。


2018夏の旅 新潟北部~山形中西部(8/9~18)その27
松ヶ岡開墾場2