約15年前 | Pの独り言

Pの独り言

個人的に感じること、独断と偏見を中心に書いてます。毒も吐くよ(笑)

秋田から1人の高校3年生の女のコが俺を訪ねて来た。

 

当時、俺のオフィスが銀座にあったその頃、芸能界を目指す人たちを対象としたサイトで「無料カウンセリングサポート」というサービスを提供していて、それを申し込んで来たのだ。

 

彼女は、「お母さんの勧めで、お菓子を作る仕事の地元の専門学校へ進学することが一応決まっているのですが、実は私は女優になるのが夢で、それをお母さんに話せないでいるんです。夢を諦めきれないで中途半端な気持ちのまま何百万もする学費を払ってもらって専門学校へ行くことが申し訳なくて、どうすれば良いか相談に来ました」と俺に話した。

 

まだ、あどけなさが残る高校生の女のコが1人で、見ず知らずの俺に相談するために、親に内緒で秋田の田舎から東京の銀座まで来た。

 

その勇気に俺は驚いたのを覚えている。

 

そして俺は、「お母さんに自分の素直な思いを全て話してごらん。それで反対されて女優を目指すことを諦めるなら、それはそれで自分の人生の選択の1つだし、もちろん賛成というか、理解してもらえるならキミにとって何も問題ないだろう。ただし、その先は簡単なことではないことだけは覚悟しなきゃだね。その選択にどっちが正解か?なんてないよ。自分次第。まずはお母さんに正直に話さないと何も始まらないんじゃないかな(^-^)」みたいなことを言った(はず、笑)

 

大人からすれば、どうって事ない相談だが、高校生の彼女は、お母さんに自分の女優になる夢を話すことによって、せっかくお母さんが良かれと思って勧めてくれた進路を否定することになるので、話す勇気が持てなかったのだろう。

きっと誰かに背中を押してもらいたかったんだと思う。

 

そして翌春、彼女は高校を卒業し、女優になるために上京して来た。

その頃、ちょうど俺は映画の案件を抱えていたので、オーディションに混ぜてやろうと一度だけ会った。

しかし、彼女は劇団青年座の養成所に入って演技の勉強をすると決めていたようなので、無理強いをせずに放っておくことにした。

 

その後、俺は少なからず彼女の人生の岐路に関わった責任があるので、頭のどこかで気にはしていて、女優としての活動を続けていることは知ってはいたが、彼女はその時々で所属しているプロダクションがあったようなので、あえて俺の方から彼女に連絡をすることもなく、ずっと会ってもなかった。

 

そして月日は経ち・・・

 

先々月、彼女から、Facebook経由でメッセージが届いた。

「ご無沙汰してしまって申し訳ありません。今度、舞台公演に出演するので、ご招待させて下さい」と。

 

当然、俺は彼女の演技を観たことはなかった。

 

俺は「喜んで伺うよ!」と返信して、先週観に行ってきた。

 

本番終了後、彼女と約15年ぶりに会って話した。

高校3年生だった女のコが、32歳の大人の女性に、しかも結婚して2歳の男の子のママになっていた。

俺の中ではずっと高校生のイメージのままだったから、ちょっと戸惑った(^_^;)

時間の経過って・・・そりゃ俺もオッサンになるさ!(笑)

 

現在、彼女は女優として芸能界で成功しているとは言えない状態だけど、もっと若い頃に俺が何か手を貸してやるべきだったのかなぁ。。と最近になって考えた。

 

でも女優としての活動をしながら、結婚して子供も授かって、幸せに暮らしているようなので良しとしよう。

 

俺が約15年前に背中を押さなければ、彼女は旦那さんとも出会ってないかもしれないし、可愛い子供も生まれてなかったかもしれない。

 

ちなみに彼女の愛息の名前は、一期一会の「一会(いちえ)」くん。

15年前の俺と彼女も、一期一会。

 

これからも、人との出会いに誠意を尽くす心構えを持とう!と改めて思った。