労働基準法第1条 | 国家資格3(社労士、行政書士、社会福祉士)つをもて余している私の社会保障・労働問題考察

国家資格3(社労士、行政書士、社会福祉士)つをもて余している私の社会保障・労働問題考察

3つの国家試験合格者(登録をしていない)が語る社会保険や社会保障に関する考察,労働問題に加え、日々思うことを適当に語ります

 こんばんわ。実際の試験等で問われることは少ない条文ですが、どんな法律でも第1条は理念等が規定されている上、他の条文を解釈する際にも斟酌される決して軽視することはできないものです。

 そこで、労基法第1条は「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」と規定し、続けて1条の2で「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」

 上記規定の内容は当たり前の様に感じますが、別の視点で考えると違った見方もできるのです。ここで、例として、次の就労環境を皆さんどう感じるでしょうか。①残業代は行った分支払われる②有給休暇は理由に関わらず使える③休憩時間も法定時間分は取れる④育児休暇等法定の休暇も取得できる⑤給与から法定なり労使間だ定めた金銭以外は控除されない(ノルマが達成できない、遅刻等した等)⑥パワハラやセクハラに対して使用者側は誠意に対応する。

 ①~⑥を満たす会社は少なくとも直ちにブラック企業とはならず、ホワイト企業と言っても良い部分あるかと思われますし、そんな会社は少ない、実際はさておき大企業や公務員だけではないかと言う人もいるでしょう。

 しかし、それらは全て労働基準法や他の労働法にて定められ、実現されて極めて当たり前でありますし、先に掲げた労基法第1条はそれが人に値する生活を営む最低限度の労働基準だと言っているのです。今なお、①~⑥が全て満たされない会社が存在することはさも普通かつやむを得ない風潮も存在する上、労基法を順守していたら会社が成り立たないという旨を堂々発言する経営者がいる次第です。いわゆるサービス残業一つ取っても、法に言わせれば、もちろん皆さん全力で働いているでしょうが、人間以下の生活基準、第1条は当然憲法の生存権を受けてのものですから、広い意味で生存権の侵害と評価しても過言でないと考えます。

 労働基準法第1条が所期しているのは、立場の弱い労働者、使用者の支配下に置かれる状態は常に不当な扱いを受け、その生活が劣悪なるのを防ぐことですから、全ての条文は決して労働者が良い生活を送る、楽をすることには繋がりません。むしろ、労使は労働基準法の基準は最低である、企業活動で言えば赤字でも黒字でもない状態であると捉え、条文よりその基準を上回るよう常に話し合い、利益を上げるようにその基準も向上させなければならないでしょう。