国民年金保険料の徴収強化1 | 国家資格3(社労士、行政書士、社会福祉士)つをもて余している私の社会保障・労働問題考察

国家資格3(社労士、行政書士、社会福祉士)つをもて余している私の社会保障・労働問題考察

3つの国家試験合格者(登録をしていない)が語る社会保険や社会保障に関する考察,労働問題に加え、日々思うことを適当に語ります

 こんばんわ。2.3日前こんな記事の題名を目にしました。年々さがっている国民年金保険料の納付率を上げるために、徴収、要するに差押え等強制的な徴収を強化するというのです。確かに納付率(払っている人の割合)は60%に届かない程度であり、ざっくり言えば半分近くの人が払っていないというこの状況に、義務を果たしている人から見れば不公平感を感じ、ひいては制度に対する信頼そのものを損なっており、更には財政にも悪影響なのではというのが一般的な論調でしょうか。

 ところで、新橋の会社員と日中の代官山お茶をしている奥様に、あなたはしっかりと国民年金を払っていしますかと質問してみましょう。およそ、前者は俺は会社で厚生年金(若しくは社会保険)にはっているよ、後者は夫の扶養になっているわと答えると思います。次に、新橋の会社員に、国民年金を払っていない人が半数近くいることを知っていますかと聞いてみましょう。これも予想ですが、知っていれば、そんなに払ってない人がいるなら俺だって払いたくないよ、そんなに払っていない人がいるのなら俺が払っている額も少し減らしてくれ等々不満が出てくるでしょう。

 しかし、数字のマジックというのか、何か意図があるのか分かりませんが、国民年金の納付率といった場合に指すのは純粋な国民年金に加入している人の中での割合となります。「純粋」ってなんだと読んでいる方は抱かれていることから補足します。

 会社等にて厚生年金に加入している人も、その扶養として加入している人も法律上国民年金に加入しているのです。法律では、前者は第2号被保険者、後者は第3号被保険者と呼ばれています。耳にした言葉ではあると思います。第2号被保険者が実際に支払う(会社から天引きされる)保険料は簡単に言えば、月の報酬に応じて決定され国民年金保険料とは額が異なりますが、雑に言えばその中に含まれているのです。そして、第3号被保険者はそもそも保険料そのものは払っていませんが、その期間はしっかりと将来の年金の基礎となる訳ですから、納付率を計算するとすれば第3号被保険者は100%になるでしょう(笑)

 とまあ、要するにみんな国民年金に入っており、数でみれば第2号被保険者と第3号被保険者が多数を占めるので(年金加入者約6700万人の内、第2号が約3900万人、第3号が約960万人)上記2つの被保険者を含めて納付率を算出すれば約95%になります。第2・第3号を除いた約1860万人の人は2、3とあるので第1号被保険者と呼ばれる主に自営業の方、20歳以上の学生等と言うことになります。この1860万人の内約5%が未納(払っていない)しているというのが統計上では算出されています。

 ここでも数字のマジックはやはりあり、上記に言う未納とは過去2年間の保険料が未納であることが前提であるため1ヶ月でも払っていればここには入りません。先ほど半分近くが払っていないと言いましたので、そのていで行けば900万人に近い人が払っていないことになるでしょう。

 ところが、国民年金保険料は2年間は遡って払えるので最終的な納付率は2年経過しないと算出できないため、マスメディア等に良く出る数字はその年度のという事になります。

 この辺は、厚生労働省のHP等に細かく数字が出ているので参照ください。あまり数字ばかり示したところで、ある定義に基づく数字でしかないので本質は読み取れません。

  しかしながら、一概に国民年金の納付率が下がっている、低いと言っても、年金制度全体で考察すれば、仮に1860万の半分が未納としても約13%なので財政云々にはあまり繋がらず、やはり公平感という事になるでしょう。

 次回は、強制的な徴収方法を強化する意味はあるのかです。