↑あらすじ・配役はこちらを参照ください。
5人殺して逃亡の末、逮捕された男の実話を元に――
・西口彰事件のこと→コチラ
・榎津巌(えのきづいわお): 緒形拳☆
・父: 三國連太郎 ←クリスチャン
・妻: 倍賞美津子
・ハル: 小川真由美
↑この配役が素晴らしい!!
人殺しの話には、何を求めて(期待して)観るでしょう……
心の闇?言い訳?あるいは
観たこともない狂気への興味か……?
弁護士や大学教授を騙り、金銭をだましとり
いや、カネのために人を殺し、生き延びていた男の
つかまるまでの、“鬼ごっこ”のスリルか???
いやいや、観て思った。
この配役の素晴らしい人間臭さが、九分九厘かも……
緒形拳さんは、タダの、悪い男やコスイ男じゃない…
時系列でないが、テンポよく、飽きないのは
この人たちの匂いに、引き込まれるから。
人殺しに、教訓があるわけでもないが
彼に関係する男女らに、人間の性や業が、日常的にある風がいい。
人の営みの動物臭は、払ってもぬぐえるもんじゃなく
生きざまも、美しいとばかり、言えるもんじゃない……
それでも、「絶望は罪」として、ひたすら生きている彼らの命を
自己都合で、簡単に奪ってしまうソイツは、大したタマよ…( 一一)
▼~▼ 内容にふれて、雑談です。
▼▼▼
巌のタガが外れたのは、戦時中
父(猟師)の船を、軍に“接収“されたときか?(端的)
敬虔なキリシタンの父をもってしても
神は“沈黙”し、奪い取られた船。
少年:巌には、神と父の無力さを、目の当たりにし
それでも、信仰に熱心な父に、矛盾と不満を募らせたか!?
(でも、殺しは、ダメなんだけどね)
そのときのお金欲しさに、殺しをしていた感あるも
巌は、懇ろになった旅館の女将:ハルには、送金したことがあった。
(ハルとの関係は特別で、事件の目玉と言えそう)
ハルは、母が人殺しで収監されたこともあり、苦労していた。(蔑まれ含む)
女は、バカにされると、どーも
男(夫)からの、性的対象度が増すような気がする……( 一一)
愛でなく、支配的に…orz
そのせいかナンなのか、ハルの色気は、まるで
薄幸がゆえに満たされない…そんな匂いがする……
その満たされなさに、男は、惹かれそう…(汗)
大学教授と偽った巌は、殺人犯とバレても
ハルの宿に泊まっていた。信じて愛していた、と思いたいが……
そんなハルをも、巌は殺してしまった!!!!
ハルが、漬物を、漬けていたときに……
そのときの巌の会話が、その答えだったのか?
正体のバレた彼は、もうハルとも、長く居られないことは覚悟していた。
その漬物が、食べごろになるまでにも、一緒にはいられまい……
“漬物“があたかも、巌に、”時間“を意識させたのかも…
それで、時間を止めるべく?ハルを殺したのか?????
殺したあと、「ありがとう」と言って
ハルの乱れた着衣を直した巌には、
身勝手でも、愛さえ、感じてしまったが……
(あとで、自分でもなんで殺したかわからないと言った巌。
それも、正直なところだろう……)
そんな巌にも、妻はいた。
妻は、クリスチャンの義父を“敬愛”していた。
巌の逃亡中には、自分から義父に迫ることもあったが
義父は、信心から、律した。
↑この妻=倍賞さんの肉感さも、絶品です!(照)
殺人犯の夫を持った“苦労“が、色気になっていった感じ。
言い寄る男に、襲われもする。(>_<)
危険だわ…(汗)
夫不在の人妻の色気は……(>_<)
巌の母が死に、巌も、処刑されたあと
義父と妻は、山の上で、巌を散骨する。
(教会を破門された巌は、入る墓がない)
親子でも、男女の感情でも
この二人が、お互いを、家族・肉親として生きていくことを
誰も否定は、できないだろう。
巌が、あの世で、嫉妬したとしても……
父が、骨壺まで、放り投げたとき
彼は、自分を縛っていた様々な呪縛から、解かれたのかもしれない……
そんな父と息子:巌との会話も印象的だ。
(もう、死刑を待つようなとき)
父を殺せばよかったーと巌が、言ったとき
父は、否定した。
「お前は、恨みもない人しか、殺せない」
恨みは愛の裏返しーなどと、ここで言えば、薄っぺらいかもしれない…
ハルには「ありがとう」とは言ったものの、“殺した“のなら、
所詮、ステッキガールちゃんの延長のような存在だったか?
なんだかわからないまま殺したーとも言った巌の
恨みも何もない、空虚な動機には、
改めて、殺され損?な気持ちになってくる…( 一一)
▼▼▼
巌が、クリスチャンだったことを意識したタイトルのようです。
復讐するのは、“我“(神)であると。
そうは言っても、やりきれない事件です……orz
そんな事件の虚しさはありますが
ソレ以上に、役者たちの人間性の迫力!
生きている人間の底力!
それらが、すごく印象に刻まれました。
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