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↑あらすじ・配役はこちらを参照ください。


黒澤明監督の名作と聞いていましたが、あらすじすら知りませんでした。
シベリア方面を踏査した隊長の実話だそうで
デルス・ウザーラ“とは、そのときガイドをしてくれた、ゴリド人狩人の名前です
1902年と1907年の踏査―-2部構成の長編です。
 

内容は、デルスさんとの踏査旅のアレコレになりますが
デルスさんの名前をタイトルにしたとおり
その旅のインパクトは、
デルスさんという人間が、もたらしたものによるところ大です。
 

人との関係から受ける衝撃や感動は、
“あらすじ“で、まとめられるものではありませんで
この長編で、デルスさんと一緒に旅をすることで
そのインパクトのシャワーを、浴びることができます。
 

家族を天然痘で失い、森を住処としているデルスさんは
過酷な運命や、厳しい環境の中でも
それに沿って、生きているようでした。
何より、デルスさんの生き方には、頭が下がります。
 

▼~▼ 内容にふれて雑感です。
 
▼▼▼ 
 
1.研ぎ澄まされた“生“
 
デルスさんは、森で、原始的に、一人で生きていて
隊員よりも、感覚が鋭敏で、射撃の命中度も高い。
町中の、便利に調達できるところに居たら
生きる技の精度が高くなくても、生きていけます。
 

出来なくても、悩んでも、
自分の力だけで、生きていかなければならない人は
必然的に強いです。
 

そして、だからと言って、無駄にあわてず、構えているんですね。
無駄に落ち込まないというか、エネルギーを無駄に使わないというか……
大事があっても、出来ることを冷静に、淡々とこなしていく。
その頼もしさには、研ぎ澄まされた“生“を感じるのです。
 
 
2、自然にも人間にも謙虚で優しい☆
 

一行が、森の中の小屋を去るとき、
デルスさんは、お土産”を隊長に所望します。
その“お土産”は、生きるためのわずかな物資。
デルスさんは、次に、この小屋に着いた人が困らないように
しておきたいと言うのです。
なんていい人なんだッ!!!!
 

途中の道でも、朝鮮人参が無いことの目印を、
知らずに取った隊員を、諭しました。
朝鮮人参を捜しに来た人が、無駄仕事をしないで済むように
目印をそのままにするようにと。
 

商売のため、動物を捕獲する落とし穴を、いくつも掘った者がいて
そこで、何頭も、死んだままになっている現場に遭遇しました。
狩人のデルスさんも、狩猟をしますが、
無駄な捕獲はしません。
動物が無駄死にしないように、落とし穴を回避したい。
隊員たちは、デルスさんの意向に協力しました。
 

そして、隊長とデルスさん二人が、ハンカ湖付近に行ったとき
“道“に迷い、吹雪に遭ってしまいました! (↑イメージ)
デルスさんの指示で、草を集めて、風よけを作ろうとするのですが
隊長は、気を失ってしまいます!!


しかし、気づけば、デルスさんが、テントのように草を積んで
吹雪を防いでくれたおかげで、隊長は死なずに目覚めることができました。
命の恩人デルスさんに感謝する隊長。しかし
デルスさんは、二人で作業したのだから、お礼は言わなくていいと……
なんていい人なんだッ!!!!
(後でも、デルスさんは自慢しないし、恩に着せない)
 

人は(自分含む)、良い人であろうとして、生きていると思いますが
ちょっと油断すると、
すぐつけ上がる(汗)かもしれない生き物でもありますよ…(_)!!
 

その思い上がりは、どこから来るのでしょうか……(_)!!
逆に、デルスさんの謙譲の美徳は、どこから生まれるのでしょうか
思うに、過酷な自然環境の中で、自分が生かされていることを
とてもとても、自覚していらっしゃるからかしら………
 

自分は、ナニ様でもなく、この厳しい大自然の中のひとつにすぎない――
と言うことが、身に染みているからこそ、
なまくらでない、研ぎ澄まされた、真摯な生き方ができるのかも……
(自分が恥ずかしい気持ちに……(>_<)
 
 
3、運命と言うには無情な!(>_<)
 

そんなデルスさんも、寄る年波には勝てず
狩猟の腕も鈍り、隊長が、町での同居を勧めてくれます。
しかし、薪をお金で買うような、町の生活にはなじめず
森に帰ると言います。
 

隊長は、照準の合わせやすい銃を、はなむけに送り
デルスさんの森ライフが、快適であることを祈って別れます。
なのに……
 

デルスさんの遺体が森で発見され、隊長が確認に呼ばれました!
隊長が贈った銃はそばになく、その銃を目当てに殺されたのかもしれない――
と言う見解に…orz
善意の銃で、命を奪われた?隊長の心が痛みますよ…orz
 

いやいや、悪いのは犯罪者です!(キッパリ)
隊長のせいではありません。
こんなことになってしまって、悲しみと怒りでいっぱいなエンディングですが(>_<)
敢えて、しいて言うならば
デルスさんは、森で命を落とし、(その場で埋められ)森の土になって
家族の元へ旅立った――と思えば、
少しは、慰めにならないでしょうか………………………………………………
 

その、わずか3年後、隊長が訪れたそこは、人の住むところとなり、
デルスさんの墓“のあった場所も、わからなくなっていました。
 

デルスさんという素晴らしい人と出逢ったことを、書き残しておきたい――
その想いを、きっと強くしたと思います。
タイトルには、隊長のデルスさんへの強い友情の気持ちが、感じられます。
 

▼▼ 
 
 
第1部は、隊員たちが
「デルスさんは、いい人だったな」と言って終わり
第2部での、デルスさんとの再会に期待が膨らみます。
 

世間は、ズルくて無責任で、
自分さえよければいい人が、生き残ることもありますが(汗)
そうではない生き方をしている方も、もちろんいらして
そういう生き方をしている方の前では
自分を恥じますよ………………………
 

結末はアレですが(汗)
年末に鑑賞したので、なんだか、1年の垢落としをしたような清涼感♪
デルスさん、ありがとう☆