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あらすじ・クレジットはこちらを参照ください。
 
以下ヤフーレビューの転記です。(ネタバレ)
 
『出会い系サイトで知り合った女性を殺害した祐一は、
サイトで出逢った別の女性・光代と、一緒に逃げた…。
 
~誰が本当の悪人か~を問う作品と聞いた。
だます、脅す、約束を破る、あざ笑う、無責任…etc.
悪い人はそこら中にいる。
(満島ひかりの小悪魔ぶりは、祐一を正当化するに足るほど!)
それでも、誰かを求めずにいられない人の姿には、
“悪”の問いかけというよりも
人が人を慕い慈しむ事の意味を見た気がした。
作品を、的確に言葉にするのは難しいかもしれないが
作品を感じるのは、難しくないと思う。
心に、すーっと染み込むように入ってくれて、あっと言う間だった。
私なりの感想を述べます。(念のため間あけます)
 
▼▼▼▼
 
①悪と罪
 
もちろん、殺人犯の祐一は悪人だが、
「誰が、本当の悪人か」の答えよりも、祐一を通して、
“悪”の位置づけの変化を感じたのが、興味深かった。それは…
 
どんな理由であれ、殺人は悪いことで、
上から目線のマスコミに言われなくても
タクシーの運転手さんの言うとおりで
祐一も、それは悪だとわかっていた。
 
しかし、当初は、それは祐一にとって
“客観的な悪”だったのだと思う。
=悪いことだと知ってはいても、悪かったと思っていない。
それが、光代と出逢い、彼女を大切に想う気持ちが芽生えてから
彼にとって、客観的だった悪が、主観的な悪に変わったと思う。
被害者に心から申し訳ないという(罪の意識)心の目がひらいた。
被害女性の父親も、ダメ押しのように
大切に想う人を持つことの大切さを説く。
 
 悪い人はたくさんいるが、罪の意識のないことが
罪悪であるように思う。
(大学生役の岡田くんは、憎らしいまでに好演していたと思う)

いい出逢いは、人としての心の目が啓かれることを見せつつも
激情となった想いは、目をくらませるという矛盾もある。
アノ赤信号も、クラクションも、局面にいた二人の赤信号であり
警笛であったのか……。
光代がらみの悪とか罪とかも含んだ、すごくいい展開だと思う。

②海と灯台

海があるとどこにも行かれない気分になる~と祐一は言った。
そんな海に、二人は逃避行する。
寒いほどに蒼い海が広がる、印象的なシーンだ。

どこにも行かれないはずの海は、むしろ今の二人には
閉塞感ではなく
とどまれる、という安心や抱擁のようでもあった。
場所的にも、時間的にも、後にも先にも進まなくていい。
今だけの存在でいることが、唯一の二人。

彼を大切に思うなら、アノとき、自首を勧めるのが
冷静な判断だったとは思う。
しかし、やっと見つけた!と想える人と、離れたくないんです……。
悪いことと知っても…。私も、そうしたと思うから
光代のひたむきな切ない心中を思うと、たまらなくなる…。
(この深津さんが、すごくいいんだなァ…)

そして、灯台がいい…。
長い闇を、パッと照らす時間は短くても、また、照らされる。
繰り返される…。
それは、彼らだけの光と闇ではなく
誰もが、それを繰り返しているのだと思う。そして、いつか、きっと
まぶしい朝日に変わっていくのだ、という希望を見つけたくなる……。

▼▼▼▼

~どうして自分はこんな人間なんだろう~
それは、祐一だけではない、つぶやきのはず。
こんな人間だからこそ、誰かと出逢いたいんです。
理解し、大切に想いたい、大事にされたい……。

だから、仕方ない行動や言葉とはうらはらに、この手は、やっぱり
あなたの温もりが欲しくて、手を伸ばす…。
届かなくても、精一杯に…。(←胸がいっぱいになる…)

祐一の目に、光代の目に、にじむ涙を観たら
きっと、こみ上げてくるものがあると思う。

~もっと早く出逢いたかった~
そうすれば、悪人にならずにすんだのに、というよりも
もっと大きな意味を持って、作品全体を優しく包む言葉として
心に響いた。
楽しみに鑑賞して、良かったと思う。』
 
~~
 
後日の”悪人”雑感。↓
 
愛する彼女の首を絞めた彼は、わざと
“悪人”になろうとしたのではないか。

もう二人の関係が終わるなら
悪人としてでもいいから、覚えていてほしい、
と思ったのではないかと。

憎しみは、愛と同じかそれ以上に、強い感情だから。
首を絞めた、と言う行動は、作品の中で、
1番、複雑な人間の感情が込められていた行動なのだと思う。


彼は、「悪人」としての自分を、最後に彼女に見せた―
彼の愛憎渦巻いた、複雑な胸中が
強烈なインパクトを残した作品でした☆
 
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