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作品について http://cinema.pia.co.jp/title/18170/
↑あらすじ・クレジットはこちらを参照してください。


田舎の実家にて

姉 :女優志望、猟奇的、自分勝手、借金あり
妹 :高校生、姉をホラー漫画にした、郵便局でバイト
兄 :姉妹の異母兄、姉と関係?
兄嫁☆☆☆ :孤児院育ち(永作博美)


~・~雑感です~・~

誰が腑抜けで誰が悲しいのか、などと言うのは、多分、野暮なのだろう。
誰が不幸なのか、と言い方を変えてみても、薄っぺらくなってしまうのだろう。
だが、兄嫁に思うことがあった。余興として。


彼女が、1番、救われない。
嫁という立場で、真っ先に、幸せからのけ者になっている。
家族・親族と言っても、嫁は他人。いつまでたっても、ヨソモノ。
夫は、妻として見ていないし
家族にとっては、炊事・洗濯などの、女中でしかない。
でも、孤児で施設育ちの彼女は、それでも、念願の家族を持てたと思えば
幸せごっこできる。


笑顔はクセモノだ。
私だって悩みますよ~とおどけて言うのがせいぜいなのに、
それすら、否定される。
彼女の、永作の、空虚な笑顔に気づいてあげたか?
呪いのような人形に込めた彼女の感情を、感じてあげたか?
彼女には、人間的な喜怒哀楽も、認められていない。
痛みさえ………。


痛みを感じることさえ、彼女には許されていなかった。
そばつゆとコンタクト。
失明寸前まで気づかないという、いたぶり。
体を張って、夫に、感情をぶつけても、
痛いのは、夫。彼女には、アザ。


一見、可愛そうに思う、妹に一本とられた姉が
真っ赤な封筒をビリビリ破くシーンが、印象的だ。
一緒にいた嫁も、一緒に破く。
もちろん、姉のためでない。
それは、気持ちのいい、やるせない自傷行為。
だって、後片付けは、嫁の仕事なんだもん………。
飛び散った血のしずくを集めるように、真っ赤なチギレを集めて
せいせいしながら、いらつく………。


そして、
夫も、姉も、妹も、いなくなり
壊れた青い扇風機が、彼女に残される。
あの世に行った人は、あの世の風に吹かれ、
東京に行った人は、東京の風に吹かれても、
嫁は、自分で、扇風機のプロペラを回すほかないのだ。


(↑封筒の赤と、扇風機の青。
その前に、姉の傍若無人ぶりで、イラついている感情に
赤と青の色の対比が、さらに、刺激する。)



そして、バスのラストシーン。
姉妹そろっての裏で、
嫁は、きっと、ひとり、壊れた扇風機と同じ、青い涙を流していると思った。



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