地目変更 | 土地家屋調査士法人ユタカ登記測量事務所

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「農地転用許可が出たので地目変更してください」と依頼を受ける事がありますが、できません

 

何故かと言いますと、表示に関する登記はあくまで「現況主義であるから」です。

現況主義という事は、第三者が見て「誰が見てもそうである事が客観的に明らかになっている」状態でなければ登記ができないという事なんです。

 

農地転用許可が出たばかりという事は、常識的に考えてその土地はそれまで長年農地として使ってきたか、そうでないなら休耕状態であったと思われ、農地以外の別の用途には利用されていないでしょう。宅地にするために農地転用届出をして許可が出ましたと言っても、それって第三者が見てわかるでしょうか? 仮に調べてわかったとして、その土地がぱっと見、将来建物の敷地として利用されうる状態であるって、どう判断するのでしょう?

 

 

土地家屋調査士試験でも何度も問われている論点であり、記述式問題においても全く同様のシチュエーションが出た事があります。

「田として利用されている土地の一部に対して、宅地にするために盛土・造成を行ったが現時点では特定の用途に利用されていない。土地の所有者から現況に一致させるための登記を依頼を受けたものとして以下の問いに答えなさい」という設定の問題でした。

 

最初に、不明な1点の座標を求め、その土地全体の地積を計算させるのですが、問題は次でした。

「その盛土・造成を行った部分の地目が何であるか答えなさい。そのように判断した理由を説明しなさい」

この問題を間違えると、芋づる式に後の問題も全て間違えるようにできていたわけです。

ここで宅地や雑種地等と書いたが最後「はいまた来年~」という事になります。

 

ちゃんと勉強してきた人なら簡単にわかる事です。正解は田のままです。

「現時点では特定の用途に利用されていない」これがポイントです。たとえ、いくら宅地にするために盛土・造成して、元通りに田として利用する事が不可能であったとしても、現段階ではそれを建物の敷地にするのか、駐車場にするのか、それは看板立ててたとしてもそんな事は関係者にしかわかりませんよね。アカの他人が知るところではありません。

 

雑種地はどうかと言いますと、雑種地という地目も駐車場、変電所の敷地等のように、ある程度の用途性が認められなければならないのであり、利用状況が変わる途中である用途不明の土地に対して雑種地という地目を定める事は不動産登記法上許されていません。

 

ちなみにその後の設問がどうなっていたかですけど…

「本件において必要となる登記と、必要な添付書類を答えなさい。2以上の登記が必要と判断した場合、それぞれについて記載しなさい」と、わざわざ必要な登記が2つあるかもしれないと匂わせてる事や、造成した部分の地積もわざわざ計算できるように作ってあるあたりが嫌らしいですねwww

この問題の場合、最初の設問でその土地全体の地積が登記面積と異なっているとわかるため、必要な登記が「土地地積更正登記」である事はわかるはずなんです。しかし、必要な登記はこれ1つだけで、地目の判断を間違ってしまうと「土地一部地目変更・分筆登記」という要らない事書いてしまうわけです。

 

という事は、「土地一部地目変更・分筆登記」と書いてしまった人は、要らない計算をして時間を費やした挙げ句、間違った地積測量図を作ってしまう事になるなるわけですね。

 

 

 

ではどのタイミングで宅地に変わったとみなされるのか。

盛土・造成を行っただけでは足りず、例えばその土地に対して電気や水道、ガス等の引き込みがされた段階です。

そうなれば、建物の敷地として利用するんだな、とわかりますよね。

 

建物を建築している途中の土地であれば、その建物の基礎工事が完了した段階です。

でもずっと注視してるわけにもいかないので、多くは建物そのものが完成した時に建物表題登記と一緒に、その新築年月日を地目変更の日付とする事が多いですね。