そのご夫婦はニュージャージーに住んでいた。
アメリカ人のロニーさんと日本人のまどかさん。
こりゃまた随分きれいな人だ!
驚く。ずいぶん美人な女性だった。
まどかさん、大学からこちらに来て、チアリーディングとかもしてたとか。
ロニーさんもとても優しそうな方だ。
時間的にもギリギリに迫っていた。
しかし、この方々なら、きっと、カインも安心だろう。
お二人の家にはポッちゃんというワンちゃんもいたが、
この子がまたとても頭のいい優しい子で、
カインのいいお友達になれそうだった。
僕たち夫婦も胸をなでおろした。
カインと半年も離れ離れになるのは辛い。
とても辛いが、そんな中、心から安心して、このお二人には預けられる、そう確信できた。
帰国数日前、カインを預けに行く前に、
まどかさんご夫妻とランチを共にした。
僕たちは半年分のご飯代、お医者代、
そして、少ない金額だったが、謝礼をお渡しして、
カインのことをお願いした。
すると、ロニーさんが
笑顔で、そのお金を戻してきた。
まどかさんも笑顔だ。
「これは受け取れません」
いやいや、そういうわけにもいかない。
僕たちは半年にわたり、カインを預ける。
その間、散歩もある。
ご飯も食べさせて頂かなければいけない。
何より、僕たちはどれだけ救われたか。
少ない金額であっても、感謝を表したかった。
そういう訳にはいかない、という僕たちに
ロニーさんは笑顔でこう言った。
「カインは僕たちの家族です。家族からお金をもらう家がどこにあるでしょう。カインの家族である貴方たちも、僕は家族と思っています。カインと共に過ごせるのは私たちにとってとても幸せなことなんですよ?」
泣きそうになる。
世間で、「横領犯」と決めつけられていた当時の自分にとっては、この言葉はかなり効いた。
でも、諸事情で、僕はもう泣かんと決めてる。
そして、そこまで言われて、金を押し付けられるほど、僕も野暮な人間じゃない。
黙って頭を下げた。
そして、その2日後、僕たちはカインをロニーさんご夫婦に預け、その2日後、日本へと帰国した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
半年後、カインと再会。去年の12月だった。
少し、お腹の大きくなったまどかさんがカインを連れてきてくれた。まどかさんはカインを預かったその日、
待ち望んでいた新しい命が、お腹に宿っていたことが分かったのだった。
今の僕の家族が笑顔でいられるのはロニーさんとまどかさんのお陰だ。僕は今回の渡米で、お二人に感謝を伝えたいと考えていた。
風の便りで、おなかの赤ちゃんも、無事に産まれたと聞いた。
まどかさんの家に行こう。
行ってお礼を言おう。
そして、出国の日、
成田空港。第1ターミナル。
搭乗口で、ある女性にいきなり声をかけられた。
「長谷川さんですね?」
ん?
誰?この女性?
僕の母に近いご年齢と思われるが…
しかし、誰だ?この激しい美人は?
声をかけてきたその女性は自己紹介をしてくる。
「ハセガワです」
はい?何の話?長谷川、僕ですけど?
「ハセガワです。長谷川『まどか』の母です」
!!?
まどかさん、
まどかさんって…
日本の苗字「ハセガワ」なの??
いや、しかしあのまどかさんの…お母様…。
すぐに理解した。理解せざるを得なかった。
強烈に美人だ。何?このオメメぱっちり具合?
まどかさんのお母様と言われ、即時納得する綺麗さだ。
なんと、少し前に産まれたまどかさんのお子さん、クロエちゃんに会うため、まどかさんのお母様は、アメリカに向かうところだったのだ。
僕と同じ飛行機で(←偶然)!!!
そんな偶然あるんだ、と驚いた。
飛行機の中で、僕は「運命」という言葉の意味を噛みしめなおしていた。
「命」を「運ぶ」と書いて「運命」。
まどかさんご夫婦は僕たちにとって、そして、カインにとって、きっと運命の人たちだったんだろう。
そんな感謝と感動とともに、
先日。お宅にお邪魔して…
お母様の手料理、
食べまくってきました♪
美味しいですねー。
いえーい。(←お礼、忘れた)
アメリカ人のロニーさんと日本人のまどかさん。
こりゃまた随分きれいな人だ!
驚く。ずいぶん美人な女性だった。
まどかさん、大学からこちらに来て、チアリーディングとかもしてたとか。
ロニーさんもとても優しそうな方だ。
時間的にもギリギリに迫っていた。
しかし、この方々なら、きっと、カインも安心だろう。
お二人の家にはポッちゃんというワンちゃんもいたが、
この子がまたとても頭のいい優しい子で、
カインのいいお友達になれそうだった。
僕たち夫婦も胸をなでおろした。
カインと半年も離れ離れになるのは辛い。
とても辛いが、そんな中、心から安心して、このお二人には預けられる、そう確信できた。
帰国数日前、カインを預けに行く前に、
まどかさんご夫妻とランチを共にした。
僕たちは半年分のご飯代、お医者代、
そして、少ない金額だったが、謝礼をお渡しして、
カインのことをお願いした。
すると、ロニーさんが
笑顔で、そのお金を戻してきた。
まどかさんも笑顔だ。
「これは受け取れません」
いやいや、そういうわけにもいかない。
僕たちは半年にわたり、カインを預ける。
その間、散歩もある。
ご飯も食べさせて頂かなければいけない。
何より、僕たちはどれだけ救われたか。
少ない金額であっても、感謝を表したかった。
そういう訳にはいかない、という僕たちに
ロニーさんは笑顔でこう言った。
「カインは僕たちの家族です。家族からお金をもらう家がどこにあるでしょう。カインの家族である貴方たちも、僕は家族と思っています。カインと共に過ごせるのは私たちにとってとても幸せなことなんですよ?」
泣きそうになる。
世間で、「横領犯」と決めつけられていた当時の自分にとっては、この言葉はかなり効いた。
でも、諸事情で、僕はもう泣かんと決めてる。
そして、そこまで言われて、金を押し付けられるほど、僕も野暮な人間じゃない。
黙って頭を下げた。
そして、その2日後、僕たちはカインをロニーさんご夫婦に預け、その2日後、日本へと帰国した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
半年後、カインと再会。去年の12月だった。
少し、お腹の大きくなったまどかさんがカインを連れてきてくれた。まどかさんはカインを預かったその日、
待ち望んでいた新しい命が、お腹に宿っていたことが分かったのだった。
今の僕の家族が笑顔でいられるのはロニーさんとまどかさんのお陰だ。僕は今回の渡米で、お二人に感謝を伝えたいと考えていた。
風の便りで、おなかの赤ちゃんも、無事に産まれたと聞いた。
まどかさんの家に行こう。
行ってお礼を言おう。
そして、出国の日、
成田空港。第1ターミナル。
搭乗口で、ある女性にいきなり声をかけられた。
「長谷川さんですね?」
ん?
誰?この女性?
僕の母に近いご年齢と思われるが…
しかし、誰だ?この激しい美人は?
声をかけてきたその女性は自己紹介をしてくる。
「ハセガワです」
はい?何の話?長谷川、僕ですけど?
「ハセガワです。長谷川『まどか』の母です」
!!?
まどかさん、
まどかさんって…
日本の苗字「ハセガワ」なの??
いや、しかしあのまどかさんの…お母様…。
すぐに理解した。理解せざるを得なかった。
強烈に美人だ。何?このオメメぱっちり具合?
まどかさんのお母様と言われ、即時納得する綺麗さだ。
なんと、少し前に産まれたまどかさんのお子さん、クロエちゃんに会うため、まどかさんのお母様は、アメリカに向かうところだったのだ。
僕と同じ飛行機で(←偶然)!!!
そんな偶然あるんだ、と驚いた。
飛行機の中で、僕は「運命」という言葉の意味を噛みしめなおしていた。
「命」を「運ぶ」と書いて「運命」。
まどかさんご夫婦は僕たちにとって、そして、カインにとって、きっと運命の人たちだったんだろう。
そんな感謝と感動とともに、
先日。お宅にお邪魔して…
お母様の手料理、
食べまくってきました♪
美味しいですねー。
いえーい。(←お礼、忘れた)