もう講師業を始めてから10年近くが経ちます。
その間、様々な役者候補生や志望者を見てきました。

役者を見ていると、人それぞれに色々な壁にぶちあたって色々な困難と対峙して、ずっとずっと同じような場所をグルグルと停滞気味になってる時期が長めにあって

それがある時あるタイミングで、急にバチコーン!と色々なパズルのピースみたいなものが本人の中で繋がり、全部ハマって、スッと一段階上に上がることがあるのだなあと感じる事があります。

最近の僕は、所属しているキャトルステラで音響監督をメインに活動しているわけですが
収録をしていく中で、その壁や困難から目を逸らしたまま…もしくは年月だけを重ねてしまった人と出会う事があります。
そうした役者から感じるのは、無駄な自尊心の高さや、仕事に対する考え方や意思と姿勢の低さです。
僕は、作品収録とは演出と役者との共同作業だと考えています。
提案や提供の無い表現は、ただ文字を口に出した音でしかありません。
役者の仕事は全て、届けたいお客様のため…あなたのための表現でなければいけません。
僕はそう考えています。
そのための努力は惜しみませんし、そのための勉強は当然のことだと考えています。

声優志望者の方や、役者候補生の方に僕が伝えたいのは、その困難や壁から目を逸らさないで欲しいこと。
誰のための表現なのか。
見て、聴いて、感じて欲しい自分にとっての「あなた」は誰なのかを、忘れないでいて欲しいなということです。