今日は思考実験をしてみたいと思います。
日本の1年間の所得が100万円だったとします。
そして40万円が社会保障や税金に取られ、60万円が民間で自由に使えるおカネとしましょう。
今後、急速な高齢化で社会保障に多額のおカネが必要です。
現在は社会保障費を税金から補填している状況ですが、国民から見ればどちらでも同じです。
自由裁量のおカネが減ることは同じですから。
政府は40万円では足りないので税金を増やしてほしいと言ってます。
しかし、所得100万円は増えるどころか減っています。
ますます、民間の自由裁量のおカネは減ってしまいます。
忘れてはならないのは、社会保障分野や公的部門は成長しません。
つまり、所得が伸びる余地は基本的にないんです。
成長を求めてはいけないし、非効率になってしまいます。
良い悪いではなくて、そういう性質の部門です。
ここ20年、官民の所得格差は開く一方です。
つまり所得100万円は増えずに公的部門の支出は拡大しています。
これは相対価格に現れてきます。
民間の冷蔵庫やテレビやパソコンや車は値段が10%単位で下がっていますが税金や電気、ガス、水道、高速道路を作る原資であるガソリン価格などは上がっています。
一般物価はホントに緩やかなデフレですが、相対価格の格差は開く一方なんです。
これは何を意味するか?と言えば、民間の自由裁量のおカネが減り、成長しなくなっているということです。
これではじり貧ではありませんか?
民間はおカネが行けば、生産性を上げたり設備を更新して成長してくれます。
公的部門の潤沢な資金確保のためには民間の自由裁量のおカネを短期的に増やして所得100万円を増やしていかねばなりません。
一般物価を上げること、相対価格を是正すること。
両輪で進んでいかなければ日本は停滞から回復することはできないと考えます。