金融政策と財政政策は経済安定化政策の二本柱だ。
そしてこの異なる経路を大いに有効活動する舵取りが求められている。
金融政策も財政政策も国民とのおカネのキャッチボールである。
例えば金融緩和とは通貨供給量の増減を操作して消費や投資を増やす政策である。
これは国家が国民におカネをばら撒いているに等しい。
例えば日銀が国債を買い入れ、銀行に現金を渡すというオペレーションは銀行が企業や個人に対して
おカネを借りやすくする環境を整えることとなる。
国民にとってみればその行為に付随した雇用機会の増大や仕事量の増大、輸出量の増大による
所得を得られる機会が増すはずだ。
これは財政政策で国が直接、国民におカネを配ることと、何ら変わりはないのである。
金融政策には将来の増税を惹起させるような杞憂も生まれないし、通貨高もない。
むしろ通貨安となり輸出を増大させ、持続的なインフレを作りだすことによる消費の拡大も期待できるのである。
しかし、この日本では全くこの有効な金融政策が忘れ去られているのである。
日本はデフレなのである。それも十数年の長きに渡り、デフレが放置されているのである。
デフレは消費のインセンティブを落とし、投資のインセンティブを落とし企業は内部留保を貯め込むインセンティブが起きる。デフレは持続的な通貨高を起こし、輸出の減少と輸入物価のバーゲンセールによる国内企業の連鎖倒産を引き起こす最悪の状態なのである。
これを日本政府および日本銀行は長きに渡り放置しているのである。
これでは景気が長期低迷するはずであろう。
イギリスが金融緩和+緊縮財政を今現在行っている。
これは個人的には悪くない政策だと思っている。
金融緩和で国民所得の増大を図りながら、一方で緊縮財政で財政の持続性を担保する。
何ら不合理な政策ではないと考える。なぜならイギリスも変動相場制だからだ。
マンデルフレミング理論が前提条件の多いモデルであることはわかってはいるが、変動相場制では財政政策は通貨高を通して輸出の減少が起き、内需企業の増益が輸出企業の減益と相殺され国民全体では所得は増えないのである。
景気が悪くなれば財政出動という発想は固定相場制時代の古びた議論である。
政治家も国民もその意識から未だに抜けられないでいる。
財政政策では中立命題と通貨高問題が起こることをもっと啓蒙していいはずだ。
金融緩和が効力がないという妄言は信じない。
なぜなら1000兆円の国債を日銀が全部現金化してもインフレにならないのなら、そもそも累積債務の問題は存在しないはずだ。それはどう考えてもおかしい。この疑問に真正面から納得できる回答を得られたことがない。
デフレの日本に一番必要な政策はマイルドなインフレにするための通貨供給量増大政策である。
決して財政一辺倒政策ではないはずだ。