クヌート・ヴィクセルの理論も凄い | グレッグのブログ

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このブログでもマクロ経済政策を考える上で非常にシンプルだか、有用な経済理論をいくつか取り上げさせていただいた。

マクロ経済分析に欠かせないのはフィッシャーの方程式でしょう。

実質利子率=名目利子率ー期待インフレ率

そしてその指標もきちんと、数値化されていることも確認しました。

名目利子率は10年利付国債利回り 実質利子率は10年物価連動国債利回り 期待インフレ率はBEIです。

そしてワルラスの法則です。

貨幣の超過供給(需要)=貨幣以外の資産の超過需要(供給)

貨幣の超過需要があれば必ず貨幣以外の資産の超過供給がある、という理論でした。

そしてフィッシャー効果とその非対称性が実質利子率の低下を生み、政策効果を生むのでしたよね。

お忘れの方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんがもう一度当該ブログを読んでみてください。


今回はスウェーデンの経済学者のクヌート・ヴィクセルの理論です。

とてもシンプルですが、景気循環に対する対処法を考える上で非常に重要かつ有用な理論です。

一国全体の利子率を自然利子率と呼びます。

利子率と言うと、金利?と思われるかもしれませんが、今回は少し意味合いが違います。

日本と言う国に投資をしたら、何%のリターンがあるか?っていうのが自然利子率です。

これはインフレやデフレを考慮しません。実質です。貨幣価値も加味して何%のリターンがあるのかを考えます。

ヴィクセルの理論は単純で市場の実質利子率>自然利子率ならデフレ不況になり、行きつく先は大恐慌。

逆に実質利子率<自然利子率ならインフレ好況、しかし、行きつく先はハイパーインフレというものです。

当たり前と言えば当たり前ですね。

リターンより借りてくる実質金利が高ければ、誰も投資などしません。逆にリターンより借りてくる金利が低ければ我先にその国に投資を始めるでしょうね。

経済は景気変動します。景気が良い年の自然利子率は3%,でも翌年は思わぬ政変などで―1%になることもあり得ますよね。

このような景気循環に対して、実質利子率を自然利子率より常に少し低い状態にしようっていうのがヴィクセルの議論です。あまり低すぎるとインフレが加速し、少しでも高ければデフレ不況になってしまう。

日銀の白川総裁なんかは、デフレは日本の自然利子率が上がらないせいだ、日銀の実質金利への取り組みはこれ以上無理だ、と言ってるわけです。しかし、リフレーションを叫ぶ学者らは日本の自然利子率は確かに下がっているが、下がっているなら、より実質利子率を下げるべきだ。そうすればデフレは抜けられるはずだと主張するわけです。勿論、僕は絶対後者の意見に賛成なんですが・・・。

例えば自然利子率を上げる取り組みとして、規制緩和やTPPによる生産性向上をしよう。そして実質金利を下げるためにより潤沢な金融緩和をしようとしたのが、小泉構造改革です。

ですが実際は金融緩和が徹底されず、実質金利が下がり切らない中で中途半端な規制緩和のみが進み様々な副作用が起こってしまった。

皆さんはこの理論、どうお考えでしょうか?