いつの間にか寝てしまった事に気がつく
既に朝の気配が忍び寄り、窓からは朝日が差し込んでいる

時計を見ると6時を回っていた
那須くんは熱も下がったようで規則正しい寝息をたてて安らかな眠りの中にいる

慌てて帰り支度を済ませ、枕元にメモを残して帰ろうとしていたら不意に目を開けた

「おはよう、具合はどう?」と聞くと
『先生、おはようございます
昨日はすみませんでした もう大丈夫です』と言うとベッドから起き出した

額に手を当てると確かに熱はもう無いようだった
安心して帰る事を伝えて慌てて駅へ向かった

ようやく来た電車に乗ってバックからスマホを取り出し、画面を開いて固まった…
LINEと電話の着信履歴がたくさんある…神くんから…

慌てて開けると昨日の夜から日付が変わる頃まで…

どうしよう…きっと心配している筈

とりあえずLINEを送ることにした
「連絡貰っていたのに返信しなくてごめんなさい
サッカーの試合の後、久しぶりにAちゃんのお家にお邪魔してすっかり話し込んでしまい、気がつかずに寝てしまったの
心配かけて本当にごめんなさい🙏
出張お疲れ様でした
帰りの時間がわかったら教えてね」
とだけ打って送信した

付き合ってから初めて神くんに嘘をついてしまった…

どうしよう…LINEの画面を見ながらふっと涙が溢れた


家に着く頃に神くんからLINEが入った
『おはよう!〇〇 連絡貰って安心したよ
昨日は何かあったんじゃないかって心配だったんだ
でも何でもなくて良かった…
仕事は頑張って昨日のうちに全て終わらせたからこれから帰ります
お土産買って帰るね 今日は逢える?』と相変わらず優しい神くん

「午後からは予定が無いから大丈夫だよ
お土産楽しみにしてます 気をつけて帰って来てね」

胸の奥がチクリと傷んだ

初めてついた嘘…なんでそんな事をしたんだろうと悲しくなってしまう