老化しない唯一の哺乳類、ハダカデバネズミ「発見」の意味 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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痛みを感じない、無酸素状態でも死なないなどのパワーで知られるハダカデバネズミが、人間の老化を食い止めるカギを握っていた
年を取れば取るほど死に近づく──当然だ。ただし、それがハダカデバネズミなら話は別。奇妙な外見をした齧歯(げっし)動物であるハダカデバネズミが、ほかのあらゆる哺乳動物に共通する老化の法則に逆らっていることが、新たな研究で明らかになった。今回の発見は、人間の寿命を延ばし、老化を食い止めるのに役立つ可能性がある。

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高齢になるにつれて死亡率が高くなることに関しては、「ゴムパーツ・メーカム(Gompertz-Makeham)法」と呼ばれる死亡率の法則がある。これは、成人以降、年齢が上がるにつれて死亡率も上昇していくことを示す数式だ。科学誌「サイエンス」の電子版によると、人間は30歳以降、8年毎に死亡率が2倍になるという。哺乳動物は、人間から馬、ネズミに至るまですべて、この法則に従う。唯一、ハダカデバネズミだけが違う。

研究者たちは今回初めて、ハダカデバネズミがこの法則に逆らっているらしいことを発見した。ハダカデバネズミは、年を取っても死亡率が上がらない。バイオ技術企業キャリコの研究サイトが公表したプレスリリースによれば、毛のないこの奇妙な齧歯動物は、記録上のどんな動物よりも死亡率が低いという。キャリコは、カリフォルニア州を本拠とするグーグル傘下企業で、この度の研究成果を詳しく述べた論文は科学誌「eLife」で発表された。

■老化の兆候はほぼ皆無

論文の共著者であり、キャリコのシニア・プリンシパル・インベスティゲーター(研究責任者)を務めるロシェル・バッフェンスタインはプレスリリースで、「ハダカデバネズミがきわめて稀有な哺乳動物であることはかなり前から知られていた」と述べている。「私たちの研究は、ハダカデバネズミがほかの哺乳動物と同じようには老化しないことを示した。事実、老化の兆候は皆無かそれに近い」

ハダカデバネズミの生態はネズミと似ているが、すでに寿命予想を裏切り、30年を超えて生存しているものも出ている。つまり、バッフェンスタインがハダカデバネズミの研究を始めてからずっと生き続けている個体がいる。ネズミの寿命はおよそ4年だ。いくら掟破りのハダカデバネズミでも、6年以上は生きられないはずだとサイエンス誌は述べている。

バッフェンスタインが観察したハダカデバネズミは、およそ6カ月で成熟し、その段階での死亡リスクはほぼ1万分の1だった。ところが、死亡率はそこから上昇していくのではなく、その後もずっと一定だということにバッフェンスタインは気がついた。論文によれば、死亡率はわずかながら下がる可能性さえあるという。

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生物学の常識を覆す生き物
バッフェンスタインら研究チームは、ハダカデバネズミの死亡率は、年齢と共に上昇はせず、繁殖可能な年齢に至るまでの期間の25倍の時間が過ぎても上がらなかったことを発見した。実際、ハダカデバネズミには老化の明らかな兆候がまったく見られないそうだ。

この発見が、加齢に伴うアルツハイマーなどの疾患の治療研究から普通の老化まで、人間の老化防止にどう応用できるかはまだわからない。

バッフェンスタインはサイエンス誌に対し、「私にとって、これは今までに得たどんなデータよりもエキサイティングなものだ」と述べた。「哺乳類の生物学について私たちが知っていることすべてに逆らっている」

■ガンに耐性を示すことも

ハダカデバネズミはかねてから、奇妙なスーパーパワーを多く秘めていることで知られている。痛みに対する耐性を持ち、無酸素状態で20分近くも生き延びることができるほか、ガンに耐性を示すこともある。独特のDNA修復機能を持っているとされるが、ハダカデバネズミがなぜこのように年を取るのか、その理由はバッフェンスタインもはっきりとわからない。

バッフェンスタインはプレスリリースでこう述べた。「私たちは今回の成果を受けて、長生きの生物学的メカニズムを理解する上で、ハダカデバネズミが優れた研究対象であることを確信した」

(翻訳:ガリレオ)

カスタリア・メドラノ