https://news.infoseek.co.jp/article/26fujizak20170426006/
【糖質制限 結局いいのか、悪いのか】
「糖質さえ抜けば、食べ放題! 飲み放題!」
糖質制限のキャッチフレーズは魅力的だ。これで体重が減り、血糖値も改善されるというのだから。
しかし、異論を唱える人もいる。
「糖質を制限した分、脂肪やタンパク質を過度に摂取してカロリーを補わなければならず、偏食による健康リスクは当然高まります。因果関係は定かでないものの、長年糖質制限を続けてきた人の心疾患や脳卒中なども相次いで報告されている。炭水化物をまったく摂らない食生活など今すぐやめるべきだ」
こう警鐘を鳴らすのは、『世にも恐ろしい「糖質制限ダイエット」』(講談社+α新書)の著者で、管理栄養士の幕内秀夫氏だ。
「コメやイモなどの炭水化物を大量に食べていた一昔前のほうが肥満や糖尿病が少なく、おかずの量が増えて炭水化物の摂取量が半減している現代で肥満や糖尿病が急増している点から見ても、『糖質』のみを取り上げて悪者にするのはお門違いも甚だしい」と切って捨てる。
そんな幕内氏も、日本糖尿病学会が肥満の原因として挙げる高脂肪・高カロリー食に対して、糖質の過剰摂取が抜け落ちていることを指摘し続けてきた1人だ。糖質制限という概念はある意味で必然と捉えている。
「問題は、穀類やイモ類と、お菓子や清涼飲料水をすべて『糖質』とひとくくりにしてしまっていること。穀類やイモ類には糖質だけでなく、タンパク質やビタミン、ミネラルなどが含まれているにもかかわらず、です」(幕内氏)
かたや、工場で精製された砂糖や植物油の栄養素はほぼ100%糖質と脂質で、これらは炭水化物(でんぷん)と混じりあうと依存性が生じるという。その代表格がでんぷん+砂糖+油で構成されるスイーツやスナック菓子だ。
「また、『マヨケソ』といって、マヨネーズ、ケチャップ、ソースなどの調味料にも砂糖が入っており、それらを使ったピザやハンバーガーなどのカタカナ食が蔓延(まんえん)している。これらが肥満や糖尿病の真の原因であることは明らかでしょう」
つまり、標的にすべきは精製された糖質と脂質というわけだ。
糖質制限食がこれまでのダイエット食と違うのは、男性の医師による実践が多いということ。酒好きで美食家にとってハードルの低いダイエット法なのだ。
「要は食費にお金をかけられる人たちの道楽なようなもの。リスクをかけてそれにつきあう必要はありません」と、幕内さんは助言する。
たしかに、炭水化物の代わりに何を食べるか、庶民にとって悩ましい問題である。 (吉澤隆弘)