幼い頃からずっと日本語を話しているのに、大人になっても意味がわからない言葉や難しい言葉ってよくありますよね。なかでも、とくに知られていないのが“略語”です。
実は、複合語であることを気づかずに使っている言葉が数多く存在します。この度『WooRis』では、「実は略語だったと聞いて驚いた言葉」についてアンケート調査をしました。すると、よく使われている言葉が続々ランクインしました。
今回は、喋りを仕事にしている筆者が、“実は略語だと知って驚いた言葉”をランキング形式でお伝えしましょう。
■6位:食パン「えっ、食パンって略語?」と思われるかもしれませんが、主食用パンの”主と用”が省略されたものなのです。省略される前の呼び方には諸説あり、本食パンではないかとも言われています。
筆者が局でアナウンサーをしていた頃、リスナーも一緒に、この言葉の起源について議論したことがあり、様々な説が飛び出しました。絵画の道具として使われた消しパンと区別するために食が強調されるようになったという説も有名ですが、いずれにしても主食用としてのパンという意味合いですね。
■5位:演歌演歌は、”演説歌”の略語と言われています。
明治時代の自由民権運動をきっかけに生まれたのがはじまりと言われています。政府への批判を歌に託したもので、過激な内容のものもあったようです。今の演歌は男女間の情愛が歌われているものが多いので、”演説歌”のイメージには結びつきにくいかもしれませんね。
■4位:ボールペン正式名称は、ボールポイントペン。ポイントが省略されてボールペンになりました。
ボールペンの歴史は長く、1884年にアメリカ人のジョン・ラウドが着想し、1938年にハンガリー人のビーロー・ラースローが考案したと言われています。当時は先端の加工技術やインク漏れ防止対策に多くの費用や技術を要した高級品だったそうです。
しかし時間が経つと、書いた後にインクが滲むので公文書に用いることも認められず、普及しませんでした。1950年代以降、技術の進歩によって品質改良、量産による低コスト化を実現し、1970年以降は一般的な文房具となりました。
■3位:教科書教科書は、教科用図書の”用図”が省略されたものです。こちらは、他のランクインした言葉と比べると、正式名称に納得しやすいのではないでしょうか。
■2位:経済経済は、正確に言えば経世済民(けいせいさいみん)。中国の古典に出てくる言葉で、経世は世の中を治めること、済民は民衆を救うという意味合いになります。すなわち、民を苦しみから救うという意味なのです。
現在使われている経済とは意味合いが違っていますよね。本来は、より広く、政治、統治、行政全般を指すための言葉として使われていたようです。
■1位:切手1位は、切手でした。切符手形が正式名称で、金銭の支払い証明や身分証明等の紙片をさす言葉として使われていました。商品券のような役割を果たしていたという説もあります。明治時代になってから、郵便料金を証明するものとして切手という略語で使われるようになったそうです。
いかがでしたか? あなたが略語だと知っていた言葉は含まれていましたか? 言葉の意味は深いので、お伝えした情報も参考に、気になる言葉の起源を調べてみると楽しいですよ。
また、会話の中でさりげなく使うと、”プチ博学者”になれるはず。ぜひ活用してみてくださいね。
(ライター 秦野理恵)