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海外旅行に行くとき、誰でも頼りにするのが現地のガイドブックです。それは日本を訪れる海外からの観光客も同じです。では、日本のガイドブックには何が書かれているのか、読んだことのある方はいらっしゃるでしょうか。
『ニッポンのトリセツ 外国人向け日本観光ガイドブックには何が書かれているのか?』(ゴーシュ/リットーミュージック)は、アメリカ、中国、韓国で出版されている旅行ガイドや、インターネットの旅行サイトに掲載されている内容をまとめた日本のガイドブックとでもいうべき一冊です。日本人の私たちが当たり前だと思っている文化や習慣も、訪日外国人にとっては目新しく、奇妙に感じるようです。さて、海外の人々は、いったいどのように日本を見ているのでしょうか。
■日本人は礼儀正しい
・出会いの喜びも別れの悲しみも、謝罪も感謝もお辞儀で表現しようとする。(米国)
・日本人と親しくなるために最も重要なのは「礼」と「恩」だ。(中国)
・電車内などで人がぶつかったとき、言葉で謝罪の気持ちを表す。(韓国)
日本人は、「真面目」「礼儀正しい」「正直者」という共通イメージがあるようです。とくに相手に敬意を払う仕草の「お辞儀」は日本独特のもの。海外での挨拶は、握手やハグ、頬をくっつける等ですが、こうしたスキンシップはビックリしてしまうから日本人にはやってはいけないと注意しています。尊敬語や謙譲語など相手によって変わる言葉遣いも難しいようです。何かを頼むときは「よろしくお願いします」、贈り物を送るときは「つまらないものですが」と一言添え、あえて謙虚に振る舞うことが友好の架け橋だと説いています。
■食のクオリティが高い
・日本料理は素材本来の味を求め、調味料を入れ過ぎないよう作られているため、味はあっさりめが主である。(中国)
・魚の繊細な味が損なわれるため、寿司屋には香水や香りの強いヘアワックスをつけて行ってはいけない(米国)
・寿司は味を最大限に楽しむために淡白なものから始め、脂っこいものの順に食べるとよい(韓国)
和食は、あっさり味で、とてもヘルシー。その繊細な味付けを好む人も多いようです。海産物が新鮮で、寿司は特別美味だそうです。こってり味のラーメンも人気で、麺はズルズルと音をたてて食べるのが常識とされています。飲食店は総じてどれも質が高く、牛丼屋のどんぶり、コンビニのお弁当は500円も出せば腹が膨れ、とても経済的としてオススメしています。しかし観光地の自動販売機は飲み物の価格が高いという不満もあるようです。
■温泉は気持ちがいい
・公共温泉であれば湯船に入る前にまず体を洗わねばならない。(中国)
・温泉や銭湯では水着の着用が許されていない。(米国)
・日本人は性に対しておおらかで大胆だ。(韓国)
食事と並んで記述が多かったのが「温泉」に関する入浴ルールやマナーでした。欧米では同性であっても全裸になることに抵抗があり、熱湯に浸かると身体に悪いという説を信じている人も少なくありません。中国の銭湯では、湯船の中で身体を洗うのも普通で、お湯が不衛生という偏見もあります。しかし一度温泉を体験するとその気持ちよさの虜になってしまうようです。タトゥーをしている人は入浴を断られる場合があるので、大きめのバンドエイドなどで隠すようにと注意をしています。
■これは日本人も気をつけるべき
・英語のメニューがあるからといって、会計時に「bill please」というと「ビール」が来てしまう恐れがある。(米国)
「bill(領収書、請求書)」です。アルコールの「beer」とは発音が違いますが、騒がしい飲み屋では店員の聞き違いが頻繁に起こりそうな話です。
・皿に盛られた食べ物はきれいに食べつくさなければならない。(中国)
料理が残された皿を見ると、日本人は料理がお気に召さなかったのだろうかと考えてしまうかもしれません。しかし中国の宴会料理は、ほんの少し残すのがマナー。食べつくすと「量が足りない」という店への苦情になります。
・日本式の食事はパンチャンの量が少ない。(韓国)
パンチャンとは、キムチ、ナムル、サンチュなどの付け合わせ野菜のこと。韓国の料理店ではこれらは無料で食べ放題なのです。韓国人には、おしんこ、たくあんを多めにサービスすると喜ばれます。
もてなす日本人の側も、相手のお国柄を理解した対応を心がけたいですね。最後に、こんなことも書かれています。
・日本人とコミュニケーションをとる場合、外国人が多少失礼なことをしても、広い心で許してくれる。(米国)
観光庁の調査によれば2015年の訪日外国人数が過去最高の1342万人を突破したといいます。2020年の東京オリンピックを控え、さらに増加していく訪日外国人に、我々、日本人がどう思われているかを知ることで、よりよいつきあい方も見えてくるのではないでしょうか。
文=愛咲優詩