「この中にお医者様はいませんか!?」→いました。~機内に居合わせたお医者さんのホントの話 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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「この中にお医者様はいらっしゃいますか!?」

みなさんは、こんな場面に居合わせたことはありますか?
一瞬にして緊張に包まれる機内。ピンと張りつめる空気。

そんな中、颯爽と駆けつけるお医者さんは本当にかっこいいですね。白衣ではなく普段着なのでなおさら。

航空業界ではこの言葉を「ドクターコール」と呼ぶそうです。
そして、飛行機に乗るお医者さんが願うのは、「墜落しないこと」と、
「ドクターコール」がかからないこと…。

「ドクターコール」に応えるお医者さんが、ほんとは何を考えているのか。少し興味ありませんか?
ほんとは、全然かっこよくないことを考えているかも…?

今日STORYS.JPからご紹介するのは、ドクターコールのかかった機内に居合わせたお医者さんのお話。
かっこいいお医者さんの、かっこよくない本音です。

(以下STORYS.JPより一部転載)

ヨーロッパに向かうフライト中に、「お医者様はいませんか」に応えて出ていったら、とんでもないことになった若い外科医の話

そう、あれはヨーロッパ行きの飛行機の中の出来事だった。

私は当時30歳を超えたばかりの独身・若造外科医で、ヨーロッパで開かれる学会に参加すべく向かっていたのだった。

シャンパーニュとワインで些か良い気分であった私は、モニターの映画のブルース・ウィリスを観ながらそっくりな顔の後輩医師の顔をぼんやりと思い浮かべていた。

彼の外科医としての成長、人間としての成長、おでこの後退…

そんな時、事件は起こった。

すぐ前のシートの男性が、青い目のCA(キャビンアテンダント)となにか話している。
気分の悪そうな初老の男性は、後ろから見ていると段々とシートから頭が隠れて行った。
何かクレームでも言っているのだろうか?CAもなんだか慌てた様子で対応をしている。
隣にはその男性の奥さんなのだろうか、同じ歳の頃合いの女性も身を乗り出すようにCAと話している。

「やれやれ、大人しく乗ってりゃ良いのに・・・。」

私はなんとなく少しうんざりした気持ちになって、目の前のモニターに目をやった。
地図を開くと、ロシアの上空がやっと終わろうとしているところだ。
こうやって見ると、なんて横に長い国なんだろう。
ロシア。

白い息を吐き、ふかふかの毛皮の帽子、長身の美女、ウォッカ…憧れの元超大国の上空にいる。
それだけで少し心が躍ってしまう。

睡眠不足と、飲みすぎた白ワインでまどろむ頭を醒まそうと、通りがかったCAにCaffeをお願いした。ヨーロッパ行きのフライトでは、10種類くらいのcaffeを準備している所があるのだ。さすがカフェ文化が世界遺産になるエリア。

「ん・・・?」

・・・俄かに変な予感がした。何か危機的なものがある予感。一瞬で飛行機の中の寛ぎの空気が一変した。

別に特殊能力があるわけではない。

いつから感じるようになったか覚えていないが、ただその空気がぴんと張り詰めたのがわかるだけだ。

街中でも、職場の病院でもたまにそんな予感を感じることがある。きっと誰かが危機的状況に陥っている、のだろうと。街中ではその感情は黙殺するが、病院ではだいたいその予感は当たっている。
人間だれしも良い予感ははずれるし、悪い予感は当たるのだ。

胸騒ぎは確かにしたが、私は今病院にいるわけではない。

ただシートにもたれてコーヒーの香りを楽しんでいるだけだ。なんとなく自分を落ち着かせようと、再びウォッカ片手にロシアの美女との会話をはじめ、妄想の世界に浸った。


すると突然、真っ赤な服のCAたちが続々と集まってきたのである。
前の初老の男性の席の周りに。合計6人くらいはいただろうか。

みんなそれぞれ、手には真っ赤なボストンバッグの様なものを持っている。

まずい。
予感が当たったようだ。

一瞬で頭が澄み渡る。

私はほぼ無意識のうちに席を立ち、その男性の席に向かっていた。
自分の体内のアドレナリン血中濃度がぐいぐい上がっていくを感じた。

私はCAに問いかけた。

私「I'm a doctor. Do you have any problem?」
真っ赤な服のCA 「Yeah, Thank you for your help…」

どうやら男性は気分が悪いらしい。

それと同時に、機内に「お医者様はいらっしゃいませんか?」と日本語でアナウンスが入った。

確かにその男性は、シートからずれおちかけるようにしてぐったりと座っていた。
一見して顔色も悪い。

「What's happened?」と聞いたら、返事がない。意識レベルもやや低下しているか。すぐにradial arteryを触れてみる。脈が非常に微弱だ。血圧は70mmHgもなさそうだ。手はしっとりと冷や汗をかいていた。


ショック?


ぞっとした。こんなロシアの上空で、ショック・・・
ショックとは血圧が低下した、体の危機的状況のことをいう。

まずい。

私も冷や汗をかいてきた。まずは自分が冷静になることだ。落ち着いてもう一度男性の顔を見た。

なんとどこから見ても日本人ではないか。

私は日本人に、英語で話しかけてしまっていたのだ。英語がわからなければ、返事もないに決まってる。気が動転していたのだろう。

今度は日本語で
「大丈夫ですか?」と聞くと、

「・・・」

返事はない。

自分を落ち着けるためにも、一瞬、この状況をまとめた。
私(ロシア上空、日本人の初老の男性、ショック。)

ロシア上空、日本人の初老の男性、ショック。

私「圧倒的ドアウェー感・・・」


(転載もとストーリーに続く)

ーーーーーー(転載〆)

段々と明らかになる、男性の病状。
そして彼にのしかかる、大きなプレッシャー、高まる緊張、吹き出る冷や汗。

はたして男性は助かるのか?
彼の運命やいかに!


お医者さんだって同じ人間です。
緊迫した状況でも、考えていることは私達とそんなに変わらないのかもしれませんね。

(STORY紹介=STORYS.JP編集部:本間祥生)