米国防総省DARPA、記憶回復装置の研究に助成 40億円 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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【ワシントンAFP=時事】米国防高等研究計画局(DARPA)の研究者らは9日、脳を負傷した軍人や民間人の記憶を回復させることを目的とした、最新式の脳埋め込み型装置の開発に対する総額4000万ドル(約40億6000万円)の助成金授与について発表した。(写真は米ニューヨークでのイベントで展示された脳)
 DARPAは、対象研究は飛躍的な科学的前進を示すものとする一方で、人間で有効に機能することが証明されるまでには、まだ多数の困難が待ち構えていると指摘する専門家らの意見を尊重する構えをみせた。
 ワイヤレスの埋め込み型装置をめぐっては、損傷を負った脳内の「隙間」を埋め、「陳述記憶」として知られる基本的な出来事、場所、状況などを容易に思い出せるようになることが将来的に期待されている。
 この種の記憶は、外傷性脳損傷で失われる場合がある。2000年以降に外傷性脳損傷を負った米国の軍人は27万人に上っており、民間人では毎年170万人が同様のダメージに見舞われている。
 能動記憶の回復に関するDARPAの「RAM」プログラムの責任者、ジャスティン・サンチェス氏は「われわれの構想は、脳損傷と機能障害を有する患者の記憶を回復させるための神経機能代替装置を開発することだ」と語る。
 DARPAによると、同局はこのような実験を行う上での倫理的な問題について慎重に検討しており、この種の研究に関連する潜在的な落とし穴をめぐり、神経科学の専門家らで構成される委員会との協議を重ねているという。
 DARPAの研究は、バラク・オバマ米大統領が1億ドル(約100億円)の予算を投じた脳機能研究「BRAIN」を支援する4年計画の一環として進められている。
 DARPAの助成金は、最高2250万ドル(約22億8400万円)が米ペンシルベニア大学の科学者チームに、最高1500万ドル(約15億2300万円)が米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に、250万ドル(約2億5300万円)が米ローレンス・リバモア国立研究所にそれぞれ授与される。
 ■最初はてんかん患者で試験
 研究者らによると、開発されるすべての神経機能代替装置は、てんかんが原因の記憶障害があり、治療の一環としてすでに電極を埋め込まれている患者に対して最初に試験が行われるという。
 これらの患者で装置が有効に機能した場合、「外傷性脳損傷やアルツハイマー病の患者の正常な記憶機能を取り戻す方法に関する極めて重要な情報が入手できる」と、ペンシルベニア大の計算論的記憶を研究する「Computational Memory lab」のマイケル・カハナ所長は話す。
 UCLAの声明によると、科学者らは「記憶機能の回復を助けるために高度な電気刺激を用いて介入する」方法に関する研究を行う予定だという。
 研究者らが回復させることを目指している「陳述記憶」の一例として、サンチェス氏は「店に行く」ということを挙げた。店に行くためには、店の名前や場所、おそらく電話番号やオーナーの名前なども記憶しておく必要があるだろう。
 こうした情報は、外傷性脳損傷を負うと思い出すことが困難になる場合がある。
 サンチェス氏は「最終的には、脳損傷患者の情緒的、社会的、経済的側面に対する解決策を見つけたいと考えている」と述べている。
 「コンセプトとその見通しは、口で言うほど簡単ではない。負傷した兵士らにこれらの治療を施すには、技術的にそして科学的に大きな挑戦を乗り越えなければならない」
 同氏はまた、一部でささやかれている、米軍当局が戦地に派遣された兵士の記憶を改変・削除しようとしているのではとの懸念に対し、DARPAは記憶の消去に関する領域ではいかなる研究も行っていないと述べた。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2014/07/11-13:41)