【こぼれ話】「誕生日のパラドクス」、W杯に当てはめ 数学者 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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【東京AFP=時事】開催中のサッカーW杯ブラジル大会で、ある統計学的な理論の適用が試みられた──「誕生日のパラドクス」だ。W杯は、一見するとありえないような理論の正しさを証明する絶好のチャンスだという。(写真はブラジル・サンパウロ州のカンピーナスで、ブラジル代表のネイマール選手のレプリカジャージを売る男性)
 W杯に出場している32チームのうち16チームに同じ誕生日を持つ選手たちがいる。ただの偶然と思われるかもしれないが、数学者にとっては、驚くほどの珍しい現象ではないという。
 以前から、統計学者たちは、いかなるグループでもメンバーが23人いれば、うち2人の誕生日が同じ日である確率は50%を少し超えるぐらいだと知っていた。
 一般的な感覚では、理論的ではないようにも思えるが、これにはきちんとした裏付けがあるという。そしてそれぞれ23選手を抱えた32チームが出場する今回のW杯では、この理論が見事に当てはまる。
 日本を拠点に活動するハンガリー人の数学者ピーター・フランクル氏はAFPの取材に対し、「信じられそうにないことかもしれないが、数学では直感に反する理論を日々扱っている」と説明。「株取引で億万長者を目指したり、未来を予測しようと試みたりする場合でも、確率論を持ち出すことになる」とした。
 今回のW杯では開催国のブラジルや前回優勝国のスペインなど、全出場国の半分にあたる16チームで、同じ誕生日をもつ選手が少なくとも1組存在し、アルゼンチン、フランス、韓国、スイス、イランには2組存在する。フランクル氏によると、これは単なる偶然の一致などではないという。
 「人々に納得してもらうのは難しいが、それでもほぼ全てのケースで当てはまる。数学的にみると、全32チームでそれぞれ23人の選手が出場している今回のケースでは、50%という確率は(理論的に)想定される数値よりも低い」(フランクル氏)
 フランクル氏は学校時代を思い返してみればいいと話す。クラスの中に自分と同じ誕生日の生徒がいた経験を持つ人が多いはずとしながら、30人のクラスでは、同じ誕生日の生徒が一組存在する可能性は70%、41人のクラスでは、同90%の確率になるという。
 ■2月29日生まれ同士が相対する可能性も
 W杯出場選手のうちの何組かはブラジルで誕生日を迎えることになる。ただ、シャンパンやケーキでお祝いすることはできないかもしれない。
 ボスニア・ヘルツェコビナのアスミール・ベゴヴィッチ選手とセアド・コラシナツ選手は、必勝のナイジェリア戦を翌日に控えた20日に誕生日を迎える。そのため、もしお祝いしたいのなら、こっそりと誕生日会を開くしかないだろう。
 韓国代表のカク・テヒ選手とソン・フンミン選手は7月8日が誕生日。準決勝に進出した2002年W杯のような快進撃が再び起きた場合、この2人がお酒を飲みながら誕生日を祝うことは難しいだろう。
 もしドイツとアルジェリアがベスト16に進出して30日に対戦することになれば、同じ誕生日のドイツのベネディクト・ヘベネス選手とアルジェリアのサフィル・タイデル選手は試合で相対することになる。この2人の誕生日は4年に1度しかない2月29日だ。
 この理論に対して、データの収集範囲が狭すぎると主張する懐疑派もいるが、2010年のW杯まで範囲を広めた場合でも同様の結果が示されている。事実、代表64チームのうち31チームに同じ誕生日を持つ選手たちが存在し、50%近い確率を維持した。
 フランクル氏は「数学では時に、妻や子どもたち、さらには近所の人たちに説明しようとしても理解されないことがある。しかし、私は『誕生日のパラドクス』を20回ほど講義してきたが、失敗したのは1度だけだ」と話した。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2014/06/18-13:25)