風呂に入ればやせられる?ダイエット特集の真偽 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 では前回出したクイズの答えです。家庭のお風呂を二酸化炭素泉並みにするには、炭酸ガスが出る固形入浴剤が何個必要か? 答えは「10個」です。10個入りを1箱買ってもあっという間になくなってしまいますね。裏を返せば、それほど温泉というのは「濃い」ということです。入浴剤メーカーによれば、1個でも皮膚温が上昇するそうですが、1個ならお勧めはバケツに入れての足浴です。足浴については別の機会にお話しします。

 さて、入浴後に体重を量るとやせていませんか、ということで、入浴とダイエットについて考えてみましょう。

42度と25度で比較…水温と消費カロリーの関係は?

 女性向けの雑誌がダイエット特集として入浴法を解説していることがあります。それには「42度の高温浴が有効で、新陳代謝を高めて汗をかけばやせてきます」などと記載されています。これは本当なのでしょうか?

 図を見てください。42度のお湯に20分間浸つかると約220キロカロリーの熱量が体に入って来ます。ですから、以前に質問にお答えしたように体温は上昇し、その結果代謝が亢進こうしんしてきます。では25度ではどうでしょうか? この低い水温の場合、約110キロカロリーの熱量が身体から奪われます。したがって、体温を低下させないように代謝を亢進させて発熱させます。では、42度で220キロカロリーが体に入ってくるのと、25度で110キロカロリーが体から熱を奪われるのとでは、どちらがより多くのエネルギーを消費していると思いますか。



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 その答えは、体温・血圧の変化と一緒に酸素摂取量を測る実験で計算できます。エネルギー消費量は、酸素をどのくらい吸ったかによって計算できますが、10分間の入浴とその後20分間の安静の場合、基礎代謝にプラスして42度では4.2キロカロリーの増加でした。同じ条件で25度では6.9キロカロリーの増加でした。つまり、入浴でダイエットしようと思えば、高温浴ではなくて、25度の水風呂でブルブル震えている方が効果があるのです。でも、そんなに低い水温では風邪をひいてしまいそうで入れませんね。それに、たったの6.9キロカロリー!?

 一般に、1回の入浴による消費カロリーは体重1キログラムあたり、1分間に0.0606キロカロリーと計算されており、例えば体重60キログラムの人が10分間入浴すると36キロカロリー消費することになります。実際の入浴では浴槽から出たり入ったり、身体を洗ったりで、1回の入浴で消費するカロリーは約70キロカロリーになります。風呂上がりのビール1杯で吹き飛んでしまいそうですね。ということで、残念ながら「お風呂でダイエットはできない」、「体重が減るのは汗をかいただけ」、という結論になります。

 次回は「効果が期待できる?ダイエット」です。お楽しみに。