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過食嘔吐おうとはエスカレートした。「コンビニで食べ物を買い込み、全て胃に押し込んでは戻し、実家の下水管を詰まらせました」
母は娘の異常行動に、「何に悩んでいるの」と尋ねることはなかった。「自己嫌悪と同じぐらい、母への憎悪を覚えました」
念願のアナウンサーになり、一人暮らしを始めた。母は娘の番組を見て、分厚い手紙、留守電、ファクスで連絡してきた。「相変わらずの過干渉」としか受け取れなかった。アイドル女子アナを目指して仕事上のストレスも重なり、過食嘔吐はひそかに続いた。
テレビ業界の7歳上の会社員と28歳で結婚。2年後に長男を出産した。我が子を抱く母を見て、「さわらないで!」と嫌悪感を覚えた。「自分が母親になり、それまで抑え込んでいた気持ちのふたが開いた。母への怒りが噴出したのです」
母が連絡してくるたびに熱を出し、夫や幼子に八つ当たりするようになった。そんな自分が恐ろしくなり、次に妊娠した時、産婦人科の育児カウンセラーに相談するようになった。
33歳で次男を出産した半年後。怒りで気持ちが不安定だったのに加え、産後の体力低下と睡眠不足、子育てと職場復帰への不安が重なり、パニック発作が起きた。病名は「不安障害」。主に母との関係を中心とする成育環境が原因、と診断された。
タレント、エッセイスト 小島 慶子(こじまけいこ)さん(41)
(2014年4月24日 読売新聞)