なぜあなたは菓子を食べ過ぎるのか─メーカーが利用する心理学 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 本当にこれだけの量のクッキーを食べたのかと驚くことはないだろうか。

 たとえあなたがそのからくりを知らなくても、菓子のような包装食品を作るメーカーなら、知っているかもしれない。人々が一日中、多くの間食をとることが分かっているメーカーは、消費者が何かちょっと口に入れたい衝動にかられたときにいつでも自社製品を食べてもらえるよう、包装を新たにした製品を投入し続ける。メーカーの一部幹部が名付けた「ハンド・トゥー・マウス(その日暮らし)」の食べ方だ。

 食品の包装がどのように食習慣に影響するかを読み解く心理学は複雑だ。少量の食べ物を口にすると、もっと食べたいという衝動を引き起こすことがある。知識豊富なスナック好きならわかるだろう。

 ハーシーは、ひと口サイズに個包装された菓子は、車内といった特定の状況では食べにくいことを知った。そこで同社の代表的な菓子「リーセス ピーナッツバターカップ」を包装せずに小さくし、さらに再密封が可能な袋に入れた「リーセス ミニズ」を製造した。

 同社が「ハンド・トゥー・マウス・プラットフォーム」と呼ぶ事業展開の一環として、最近はロロ・ミニズ、ツィズラー・バイツ、ジョリー・ランチャー・バイツといった商品を投入した。これらはすべて主力商品の菓子を小さいサイズにし、再密封可能な袋に入れたものだ。米マーケティング調査大手ニールセンが集計したデータによると、非包装で小さなサイズの同社チョコレート製品の販売高は2012年、前年比で約14%増となった。個包装した小さなサイズのチョコレート製品の伸び率4%をはるかに上回る伸びだった。この5月にはキットカット・ミニズが登場する。

 包装タイプは非常に影響力があるため、ほんのささいなことでも人の食べ方に影響するようだ。大学生を対象に行われた研究によると、学生がテレビを見ている間、ポテトチップスの「レイズ・スタックス」を食べてもらうのだが、容器に赤い色のポテトチップを入れたグループは、赤い色のポテトチップが入っていないグループよりも食べた量が半分程度少なかった。また、赤いチップの入った菓子を食べたグループは後に質問されると、どのくらいの量の菓子を食べたかについて、そうでないグループに比べ、より正確に表現した。ヘルス・サイコロジーに掲載されたこの研究の筆頭執筆者のアンドリュー・ガイヤー氏は、この「人工的なバリア(障壁)」によって、食事をする人が、いつ食べるのをやめるのかを決める一助になったと指摘する。

 袋の中の菓子がなくなるまで食べたいという衝動は袋が大きすぎる場合に弱まるようであり、1人用のサイズの場合には明らかにそうではなない、とガイヤー氏は話す。

 長年にわたり、人々は活動中の間食を含めて食習慣を変えてきた。小さな袋のポテトチップやランチボックスサイズのプレッツェルなどが数年前に登場してから、 選択肢は格段に増えた。米ディスカウント大手ターゲットはフリーズドライの果実やグラノラバーといった食品を1回分ずつ個包装したマルチパックの製品を作っている。シュトラウス・グループとペプシコのジョイントベンチャー企業、サブラ・ディッピングで最高マーケティング責任者(CMO)を務めるケン・クンツェ氏は、小さなサイズのパックは「米国の食卓には通常のぼらない」ハマス(ひよこ豆ペースト)の消費を押し上げたと指摘する。同社はハマスやサルサ(南米の調味料)を小さなカップに入れ、プレッツェルやチップスと一緒に「グラブ・アンド・ゴー」と名付けたパッケージにして販売している。もっと最近では2オンス(約57グラム)のハマスカップを市場に投入した。

 コーネル大学の食品とブランド研究室で教鞭(きょうべん)をとるブライアン・ワンシンク氏は食品のサイズとパッケージがどう消費に影響するかを研究している。ある実験では、2週間前のポップコーンを与えられた映画観賞者のうち、中サイズの容器に入ったポップコーンを食べた人より、大きな容器から食べた人のほうが34%多く食べた。ポップコーンは「新鮮ではない」うえ「ひどい」と言われたにもかかわらずだ。新鮮なポップコーンの場合は、大きな容器から食べる量の割合がさらに大きかったこともわかった。

 人は食べ物にブレーキをかけるタイミングについて嘆かわしいほど不器用だ。それが理にかなった食事や分量にみえる場合は、容器や袋の底にあたるまで食べるようとする。この行動は学者らによって「ユニットバイアス」と呼ばれている。ニューヨークのブルームバーグ市長は最近、糖分が多量に入った大型サイズの炭酸飲料への規制を試みた理由として、同じような行動傾向を挙げた。