カルシウムとの上手なつきあい方 牛乳1、2本分で効果 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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http://www.asahi.com/health/hiketsu/TKY201211050180.html

 私は子どもの時、牛乳がどうにも嫌いでしたが、体によいと言われ、がまんしてのみ込んでいました。最近の研究では、カルシウムは腰椎(ようつい)の骨密度に確かに効果があるとか。ただ、とりすぎると心筋梗塞(こうそく)のリスクを高めるという報告もあります。どうつきあえばよいのでしょう。

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 カルシウムは、脳卒中や糖尿病、大腸がんに高血圧など、さまざまな病気に効くとされる。特に、骨にいいというのは日本では定説だ。

 ところが、世界保健機関(WHO)は、骨折予防には懐疑的だ。「ビタミンDとともに、食事に毎日1千ミリグラム加えなければ、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は予防できない」という。日本人のカルシウム摂取量は、乳製品をよく食べる欧米の半分の1日500ミリグラムほど。1千ミリグラムは、かなりの量だ。

 しかも、そんなにとると、女性の心筋梗塞が1.5倍ほどになるという報告が2008年、ニュージーランドから出た。

 そうしたなか、新潟大の中村和利教授らは今年、牛乳瓶およそ2本分にあたる500ミリグラムのカルシウムを毎日の食事に加えれば、年齢とともに下がる日本人女性の腰椎の骨密度の低下を3分の2に和らげることができる、という調査結果を米医学誌に報告した。

 研究チームは、50~74歳の新潟県の女性450人を3グループに分け、各グループごとに500ミリグラムのカルシウムサプリか、250ミリグラムのサプリ、カルシウム成分のない偽薬を毎日飲んでもらい、骨密度の変化を調べた。

 忘れず8割以上飲んだ人に限ると、2年後、偽薬だと腰椎の骨密度が4.6%下がったのに、250ミリグラムでは3.5%減、500ミリグラムでは3.0%減ですんだ。中村さんは「牛乳1~2本という現実的な量のカルシウムでも効果があることが確かめられた」と話す。

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 私は小中学生時代、給食で出る牛乳を最後に一気飲みしては、口をすすぎに水道に走っていた。あの涙ぐましい9年間は、無駄でなかったようだ。とはいえ、大腿(だいたい)骨では明らかな差は出なかった。骨は、コラーゲンの柱とそれを固めるカルシウムで強度を保っており、骨の構造で効果が違うとみられる。

 さらに、週3時間以上の運動をしている人はそもそも骨密度の低下が少なく、カルシウムの効果は見えなかった。つまり、日頃から走ったり歩いたりしていれば、カルシウムをあえて増やす必要はないらしい。

 骨密度は20歳までにどれだけ蓄えられるかが重要で、50代を過ぎると下がる一方だ。近畿大の伊木雅之教授は「結局はバランスのとれた食生活と運動がいいということ。ただ、体を動かせない人や十分な食事をとれない人もいる。そんな場合は無理せずサプリで補って欲しい」とアドバイスする。(東山正宜)

■インフォメーション

 カルシウムは1日600~700ミリグラムとるのが理想的とされる。多く含むのは牛乳やチーズなどの乳製品。豆腐や納豆、青菜、ひじき、小魚、海草なども多い。ビタミンDも骨折予防に重要だ。日本人はほとんどを魚からとっている。多いのは鮭(さけ)、サバ、カレイ、マスなど。日光を毎日10~30分浴びると、皮膚でも十分な量が作られる。