青色カットで目のパソコン疲れは消えるか 確実な証拠乏しく研究中 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

変なニュース面白いニュース、野球、サイエンス、暇つぶし雑学などなど

http://www.asahi.com/health/hiketsu/TKY201210290213.html

 パソコンやスマートフォンを、長時間使う作業が毎日続くと目が疲れてしまい、ディスプレーを見たくなくなります。画面から出る光と目の疲労には、関係があるのでしょうか。研究会が開かれています。

    ◇

 パソコンやスマートフォンには、液晶ディスプレーが使われている。液晶からは、様々な色の光が発せられるが、自然な光とは構成する成分が異なっている。特に安価な液晶には、青色LEDが加工されて使われることが多く、光の成分に占める青色が多くなる。この「ブルーライト(青色光)」による影響が研究されている。

 研究が始まったきっかけは、青色光によく反応する光受容体の発見だ。以前は、網膜にある細胞は、明るさを感知する桿体(かんたい)細胞と色を識別する錐体(すいたい)細胞だけと考えられていた。しかし、最近第三の光受容体が発見された。02年には、この新たな光受容体が青色光などを浴びると、1日のリズムをつくる、体内時計に影響する可能性を指摘する研究が発表された。

 青色光による疲労の可能性も探られている。青色光は散乱しやすい。宇宙から見た地球が青く見えるのは、青色に近い光ほど地球の大気にぶつかって散乱するためだ。目の中でも散乱しやすいため、まぶしさやにじみにつながり、眼精疲労に関係するのではと考えられている。

 こうした仮定から青色光を30~50%カットする眼鏡が開発され、市販されている。ブルーライト研究会(世話人代表、坪田一男慶応大医学部教授)が、この眼鏡を使い、青色光と眼精疲労との関連を調査した。

 パソコンソフト大手のマイクロソフト社の社員487人に4日間、PC作業時に、青色光をカットする眼鏡をかけてもらい、眼鏡をかけない時との違いをアンケートした。その結果、仕事の前後で「文字がにじむ」や「目の疲れ」などという項目での改善が見られたという。

 南青山アイクリニックの井出武副院長は「(効き目がなくても気分で改善する)偽薬(プラセボ)効果が交じっていることは否定できない」としながらも「青色光の刺激で目まぐるしく瞳孔が動く反応を抑えたとも考えられる。青色光カットによる効果が出たのでは」と話す。

    ◇

 だが、慎重な見方もある。日常光にも青色光は含まれている。それに比べると、液晶画面から発せられる青色光は微々たるものだ。その上、人の水晶体は元々黄色がかっていて、青色光をブロックする仕組みがある。また加齢でも遮られる率が増え、45歳なら、眼鏡を掛けなくても3~5割ほどの青色が自然にブロックされている。

 筑波大学の大鹿哲郎教授(眼光学)は「眼精疲労の原因として同じ距離に焦点を固定させた作業や眼の病気、ストレスなどがわかっている。青色光が有害だとする有力な証拠はまだない」という。(田中誠士)

◆インフォメーション

 ブルーライト研究会のサイト(http://blue-light.biz/) から勉強会の日程や研究論文などが確認できる。青色光をカットする眼鏡は、眼鏡ブランド「JINS」を展開するジェイアイエヌ(東京都渋谷区)や「Zoff」のインターメスティック(同)が取り扱っている。どちらのブランドの眼鏡も青色光を最大約50%カットする。