心の病、医師見極めて 治療への疑問、セカンドオピニオン活用 [12/01/12] | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 うつやパニック障害、不安障害、気分障害といった心の病気で専門機関に相談・受診する人が増えている。体の病気に比べて、心を診る医師にはなじみが薄い人も多い。何に気をつけたらいいのか。

●薬次々、1度に11種類

 関東在住の40代男性は2年半前、眠れなくなった。通勤中に急に動悸(どうき)が襲い、気分が悪くなる。かかりつけの内科で精神科診療所を紹介してもらい、「パニック障害」と診断された。

 最初に処方された薬は5種類。抗不安薬、抗精神病薬、抗うつ薬のほか、効く時間の長さが違う睡眠導入薬が2種類あった。

 しかし、半年たっても眠れない。主治医は鎮静作用の強い睡眠薬や効き目が長い睡眠導入薬を順次追加。薬は11種類に増えた。そのころから、話しかけられても反応が鈍くなった。診察に同席した妻が「そんなにたくさん飲んで副作用はないんですか」と尋ねたが、医師は「大丈夫」というだけだった。

 休職を迫られた男性は失望し、休むと同時に薬を中断。翌日から幻覚、幻聴が始まった。脳に働く薬は、急にやめると反動で副作用が強く出て危険なことがある。

 妻の強い勧めで、知人の医師にセカンドオピニオンを求めた。精神科医ではなかったが、「専門外の自分がみても、処方されている薬が多すぎる」。大学病院でも「入院して、慎重に様子をみながら使う薬の量だ」と言われた。

 大学病院で処方されたのは抗不安薬1種類。それでも自然と眠れるようになり、5週間の休職で仕事に復帰できた。「家族の見守りとセカンドオピニオンで適切な助言を受けられたおかげ」と男性は振り返る。

●おざなり問診、要注意

 「精神科でも、主治医以外の意見を求めたほうがいいケースがある」と北里大学精神科の宮岡等教授は指摘する。まずは、初診で同じ系統の薬が二つ以上処方された場合だ。

 心の病気は、検査数値で診断したり、薬の効きめを評価したりするのが難しい。しかも、使うのは脳に直接働くデリケートな薬だ。同じ作用の薬なら「最初は1剤から様子をみるのが一般的」と宮岡さん。

 同じタイプの抗うつ薬や睡眠導入薬を最初から重ねて処方されたら、説明を求めた方がいいと言う。医師に聞きづらいときは、薬剤師に「同じ系統の薬はあるか」と尋ねたり、似た効能の薬が複数あれば「効き方がどう違うのか」と確認したりすることを勧める。

 治療が長く続くと、主治医の判断で、同系統の薬を重ねることはある。だが、「具合が悪いと訴えるたびに薬が増える」というときは、複数の医師の意見を聞いてもいいと言う。

 やはり初診で、「薬を飲んで休めば治る」と言い切られたときも要注意。

 精神科では、家族の見守りや生活環境を整えることも治療の一環だ。「そこを省略して、『薬で治る』と言われたら、気をつけて欲しい」と宮岡さんはいう。

 初診時に生活習慣や性格に関する問診も無く、簡易なチェック形式の問診だけで、短時間で「うつ病」と診断された場合もそうだ。

 「ほかの病気の可能性を除外することが大切。発達障害や認知症によるうつ状態なのに純粋なうつ病と診断され、効果が期待できない抗うつ薬を飲んでいる人も見受けられる」と日本精神神経学会薬事委員会委員長の三國雅彦群馬大教授はいう。

 初めて精神科や心療内科を受診する場合や、セカンドオピニオンをどこに求めればいいか迷うときは、どうすればいいのか。

 「保健所で、嘱託の精神科医につないでもらう方法もある」と、地域で精神科の医療連携に取り組む「こころの診療所細田クリニック」の細田眞司院長(松江市)はアドバイスする。

 精神科のセカンドオピニオンの窓口を、独自に設ける自治体もあらわれた。

 神奈川県相模原市は2010年度から毎月1回、市の精神保健福祉センターで精神科医による窓口を無料で開いている。半年間で申し込みは32件。予約に至らない問い合わせも多く、同市は来年度も続けるという。