くらし支えるリハビリ(1)短期集中訓練 腕動く | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 群馬県伊勢崎市の主婦A子さん(71)は、昨年7月、運動神経に障害を起こす難病「ギランバレー症候群」を発症した。

 車を運転中に「手が上がらない」と感じ、複数の病院で診察を受けたが、診断はつかなかった。夫と旅行に出かけるはずだった7月7日、手足のまひや呼吸困難を起こして救急車で総合病院に運ばれ、ようやく病名が判明した。

 「手も足もぶらぶらで、力が入らない。一生寝たきりかと涙が出ました」。A子さんは振り返る。

 8月に地元の「美原記念病院」のリハビリ専門病棟に転院した。当初は重度の手足のまひが残り、寝返りもうてず、食事もチューブで胃に流動食を送る「経管栄養」だった。懸命なリハビリの結果、11月には歩けるようになり退院した。ただ、腕はほとんど動かず、日常生活の多くで夫(70)の介助が必要だった。

 「なんとか家事ができるようになりたい」と強い意志を持つA子さん。美原記念病院と同じ法人が運営する老人保健施設「アルボース」での通所リハビリを週3回、病院からの訪問リハビリを週2回利用した。

 アルボースでは、2か月間の「短期集中リハビリ」に取り組んだ。週2回、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)などと一対一で、1回20~40分。まひの回復に合わせて、手の機能回復訓練や食事を自分で取る練習、トイレでの衣服の着脱などを行った。

 制度上、老健施設では、利用者100人に1人の割合でのPTら専門職の配置が定められている。アルボースでは、入所者100人と通所リハビリの定員32人に対し、PT3人、OT2人、言語聴覚士(ST)1人の計6人と多くのスタッフがおり、「短期集中リハ」の時間以外も「手を使う機会をできるだけ作る」方針で指導を行った。

 リハビリで左手はだいぶ動くようになり、右手も肩の高さぐらいまで上げられるほど改善した。A子さんは「トイレも介助なしで行ける。こんなによくなるとは思わなかった」と喜ぶ。

 アルボースのリハビリテーション科長の本木綾さんは「A子さんの場合、十分な量のリハビリが、発症から切れ目なく提供されたことが大きかったと思う。本人のリハビリ意欲の高さも回復を後押しした」と話す。

 リハビリは発症からの時間によって急性期・回復期・維持(生活)期と分けられる。三つ目の維持期は医学的に機能の改善があまり見込めないとされる。

 しかし、維持期のリハビリは、障害を負った後も元気に生きるための大きな支えになる。よりよい「維持期リハ」を模索する現場を訪ねた。

(2011年7月29日 読売新聞)