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そもそも耳あかとは何なのか?
埼玉医大耳鼻咽喉科名誉教授の飯沼寿孝(としたか)さんによると、〈1〉古くなってはがれた皮膚〈2〉毛穴から出る皮脂などの分泌物〈3〉耳穴に生えている短い毛の抜け毛――などが入り交じったものだという。
耳穴の入り口から鼓膜まで(外耳道)は、大人で約3・5センチあるが、耳あかが発生するのは、その中でも、入り口から1・5センチ程度のところまで。その奥の皮膚は厚さ0・1ミリほどと非常に薄いうえ、毛穴もなく、耳あかは出ない。
飯沼さんは「日本人は清潔好きで耳かきを習慣にする人も多いが、やりすぎると、かえってかゆみが出てきて、ますます耳かきしてしまう悪循環に陥りかねない」と忠告する。
頻繁に耳かきすると、皮膚に炎症が起きてかゆみが出たり、刺激で分泌物が多くなり耳あかが増えたりすることがある。炎症が高じて湿疹ができたり、ひっかいて出血しカサブタができたりして、さらにかゆくなることもある。
耳あかが詰まって難聴になる人もいるが、そこまでたまる人はまれだという。通常、耳あかは短期間に大量に出ることはなく、自然に耳の外に出ていくことも多い。「医学的な意味では、耳かきは年2回程度でも十分。むしろ、やり過ぎて耳を傷つけることの方が多いので、好きな人でも、せいぜい月1回程度に抑えた方がよい」と飯沼さんは話す。
(2011年2月17日 読売新聞)