http://www.cnn.co.jp/science/AIC201007270016.html
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(CNN) チューリップ型のカイメン、原色のサンゴ、星型や羽毛状の生物――。カナダ・ニューファンドランド島の東海岸沖の海底から、遠隔操作の水中カメラで撮影した映像が届き、深海のサンゴや新種生物の生態が明らかになった。海洋環境の変化を探る手掛かりとなることが期待される。
カナダ漁業海洋省が率いたこのプロジェクトには、同国の3大学とスペイン海洋研究所の科学者チームらが参加。同国沿岸警備隊の艦艇上から高性能カメラを操作し、20日間にわたって、北大西洋漁業機関(NAFO)の保護対象11区域の海底を探査した。従来の探査より500メートル深い3000メートルの海底まで到達し、多数の新種生物などを発見した。
プロジェクトを主導した同省の研究員、エレン・ケンチントン氏はCTVテレビに「深海生物の多様性に対する認識が塗り替えられた」と話した。
同氏がモントリオール・ガゼット紙に語ったところによると、収集された映像データや標本から、サンゴの化学組成、海底の水温などを1000年さかのぼって推定することも可能になるという。
サンゴは2億5000万年前から地球上に存在する生物の一種だ。口や触手を持ち、プランクトンを食べて成長する個体が分裂を繰り返して群体を作る。その下には石灰質の骨格が積み重なり、やがて巨大なサンゴ礁となる。サンゴ礁は世界で最も生産的な生態系のひとつとされ、4000種以上の魚類などがすむ。だが一説によれば、世界のサンゴ礁の20%はすでに死滅し、24%が深刻な危機にさらされているという。
現在の漁業技術では到達できない区域が、何年かたって漁業圏内に入った時、今回の成果が参考データになることも考えられる。ケンチントン氏はCTVとのインタビューで、「漁場となる前の深海にどのような生物が存在したのかについて、将来への助言が可能になるだろう」と語った。