体重増加の予防に必要な運動量は? | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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坪野吉孝 《東北大教授》

運動が健康に良いことはよく知られているが、実際に体重増加の予防に必要な運動量はどのくらいなのだろうか。この問題を調べた論文が、米国医師会雑誌に3月掲載された。

研究は、米国の中年女性34,079人(平均年齢54.2歳)を13年間追跡。調査期間中に7回、「普段行っている余暇の運動」と「体重」を質問票でたずねた。対象者の平均身長は164.1cm、平均体重は13年間で70.2kgから72.8kgに増えていた。

調査結果をもとに、早歩きなど「中等度の運動」を行っている時間の長さと、「3年間で体重が5ポンド(2.3kg)以上増えるリスク」に関係があるかどうかを調べた。

研究開始時点のBMI【体重(kg)を身長(m)の2乗で割った肥満度】が25未満の「正常体重」の対象者だけで比較すると、週420分以上運動しているグループに比べて、週150分以上420分未満のグループは1.08倍、週150分未満のグループは1.14倍、それぞれ体重増加のリスクが高くなっていた。


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一方、BMIが25以上の対象者で調べてみると、運動量による体重増加のリスクは、はっきりとした差が認められなかった。

また、調査期間を通じてBMIが25未満の正常範囲で、体重増加も2.3kg未満だった参加者を調べてみると、平均で1日あたり約1時間の運動をしていたこともわかった。

著者らは、いったんBMIが25以上になると、運動だけで体重を維持するには手遅れで、食事によるカロリー制限が必要となる可能性があると考察している。また、米国心臓協会などのガイドラインが勧める『週150分程度の運動』は、(心臓病や糖尿病など)慢性疾患のリスクを下げるには十分だが、体重増加じたいを予防するには不十分な可能性があると論じている。

この研究の対象者のエネルギー摂取量は1日約1,740kcal程度で、日本人の50~59歳女性の1,771kcal(平成20年国民健康・栄養調査)とほぼ同程度だ。したがって今回の結果は、日本の中年女性にもある程度当てはまるのではないかと思われる。

反面、余暇時の運動量だけを計算しており、仕事を通じた運動量を考慮していない点は限界として留意が必要と考えられる。

それにしても、体重増加を予防するには1日1時間以上の早歩きなどの運動が必要というのは、継続して実行するにはかなりの運動量に思えるが、いかがだろうか。ただ、これより少ない運動でも、多少の体重増加はあったとしても、糖尿病や心臓病の予防には有効なことは確認しておいて良いだろう。