イメージトレーニングが大事 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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より

人の心と体にかかわる自律神経には、交感神経と副交感神経がある。ぼくは交感神経を「がんばる神経」、副交感神経を「がんばらない神経」と呼んでいる。

 がんばる神経の交感神経が緊張状態に偏りがちな現代社会では、ときどき意識的にがんばらない神経の副交感神経を刺激することが大事である。

 温泉に入ったとき「気持ちいい」と感じ、おいしいものを食べたとき「うまい、うまい」、気の合う友だちとおしゃべりをしたときは「楽しいなあ」、景色を見たときに「わあ、きれい」と思うことが大事。そのとき、副交感神経が優位になる。イメージを強めるには、声に出すとさらによい。感動を言葉にするのだ。

 スポーツのイメージトレーニングでは、サイキングアップという手法がよく行われる。呼吸法や音楽やイメージによって、心を興奮状態に高めるというテクニックだ。だが、この手法は万能ではない。時と場所を選ぶ。

 たとえば、自動車のセールスマンが、高級車を買ってくれそうなお客のところに商談に行く。そのときに、アドレナリンやノルアドレナリンをバンバン出すようにサイキングアップすると、かえってお客は勢いに圧倒され、逃げ腰になり、商談はうまくいかない。

 むしろ、副交感神経を優位にするイメージをしたほうが、商談は成立しやすい。お客に「車を買う」という行動変容を起こさせるには、突撃スタイルではないほうがいいことが多いのではないか。

 スポーツはサイキングアップが適している面が多そうに見えるが、実は、サイキングアップで交感神経の緊張を高めるよりも、副交感神経を刺激してリラックスするほうがいい種目が多い。

 野球なんかは、微妙である。ぼくは大学時代、野球部だった。だから、身をもってそう感じる。

 イチロー選手は、バッターボックスに立つ前に、脱力系のルーティンを繰り返す。一方、一昨年引退したスラッガー清原は、まるでプロレスラーがリングに立つときのように気持ちを奮い立たせる。長渕剛の「トンボ」にのって、バッターボックスにノッシ、ノッシと入っていく。サイキングアップしすぎているのではないか、と思った。もちろん、このスタイルが、清原の魅力でもあり、ぼくも彼のことは好き。

 イチローと清原は、巌流島の戦いの武蔵と小次郎に似ている。リラクゼーションに自分を導き、最大のパフォーマンスを引き出そうとするイチローと、闘志をむき出しにしてサイキングアップしすぎた清原。結果は、言わずもがなだ。

 相撲、柔道、プロレスと、野球は違う。そこを清原は勘違いをしていたのではないか、という気がする。

 大相撲の高見盛が、自分の顔や体をたたいて気合いを入れるのは、わかる。プロのスポーツ選手でも、本来の能力の70%ぐらいしか使っていないという。100%の力を引き出すためには、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が必要だ。顔や体をたたきながら、高見盛はこのホルモンを分泌しているのだ。それでも高見盛はよく負ける。これがまた、人気になる。アドレナリンやノルアドレナリンの興奮ホルモンだけでは、ハタキ込みやうっちゃりに弱い。「激しい」闘志だけ前に出るのではなく、「静かな」闘志が大事なのだ。

 

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昨年行ったポリネシアの海で、魚とたわむれるカマタ。美しい景色を見たら、「きれいだなあ」と感動を声に出してみること。副交感神経が優位になり、心がストレスに強くなる 「激しい」闘志は交感神経が優位であるのに対して、「静かな」闘志は交感神経と副交感神経のバランスがよいようなイメージがある。

 バッファローが突進するイメージはもろい。ヒョウが獲物をにらみつけながら、後ずさりしているイメージは、しなやかな強さを感じる。高見盛も、「静かな」闘志も身につけたら、さらにいい成績を残せるかもしれない。

 人生も、多くのスポーツも、リラックスをして、副交感神経を優位にもちこんだときのほうが、うまくいくことが多い。自律神経のバランスがよくなり、ここぞというときに、ぐんとアドレナリンやノルアドレナリンが出て、がんばる神経に切り替えられる。発想の転換をしてはどうか。

 人生には極意がある。がんばって、がんばって、ときどきがんばらないイメージをもっていると、しなやかな強さが出てくるのだ。

 大事なときほど、緊張をほぐし、リラックスに導く手法を身につけておくといい。

 いい景色を見ながら、深呼吸をするのもよい。「わあ、おいしい」「幸せ」と感動を声に出すのもよい。感動をイメージすることで、幸せへの道につながる。

 たくさんのコメントをいただき、ありがとうございます。ぼくの「行動変容法」がお役に立てているようでうれしいです。ぼくの講演を聴きに来てくれた方も多く、感謝です。

 [射手座]さん、その通りです。もちろん病院でも行動変容は起こりますが、実際の生活の中で行動変容が起こることは多いです。

 [さくらもち]さん、おっしゃるとおり、「やせ幻想」みたいなものが一人歩きしているように思います。「おお太」はいけないけれど、「ちょい太」はいいのです。今後、夕方のニュース番組「every.」(日本テレビ系)などでも、ぼくの「がんばらない」コーナーで健康について取り上げるので、ご注目ください。

  [きらら]さん、糖尿病のコントロールに、ぼくの行動変容法が役に立っているということ、うれしく思います。

 [yasumin]さん、お気づきの通り、心と体はつながっています。精神疾患を抱えながら、体重のコントロールするのは大変ですね。58キロをキープしているのはえらいです。