成体の大脳新皮質で新生=神経細胞、ラットで確認-藤田保健大など | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 成体のラットでは、軽い脳卒中に似た状態になった後、思考や運動などの高い機能を担う大脳新皮質で、新たな神経細胞が盛んに生み出されることが確認された。藤田保健衛生大(愛知県豊明市)と京都大、東京農工大の研究チームが28日、米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス電子版に発表した。
 今後、同じ哺乳(ほにゅう)類であるヒトの大人でも同じ現象が確認され、さらに飲み薬で神経細胞の増殖を促すことができれば、てんかんや認知機能低下、精神疾患の新たな治療法になると期待される。
 大人の脳は再生しないと長らく信じられてきたが、近年、記憶を担う海馬や、嗅覚(きゅうかく)に関連する側脳室の一部では、神経細胞が新たに作られることが分かってきた。しかし、大脳新皮質でも新たに作られるかははっきりせず、論争が続いている。
 藤田保健衛生大の大平耕司助教らは、ヒトなら30代に相当する生後半年の雄ラットで実験。大脳の表面を覆う大脳新皮質を、染色法などを工夫して調べると、6層構造の一番上の第1層で、神経細胞がわずかながら、新たに分裂して生じていることが判明した。
 次に、首の動脈の血流を10分間止め、軽い脳卒中状態にした後では、神経細胞が盛んに生み出され、第1層から最も深い第6層の方へ移動するとともに、既存の神経回路に組み込まれて活動した。
 大平助教らは、大脳新皮質の第1層には、神経細胞を生み出す神経前駆細胞があるとみて、「L1-INP細胞」と名付けた。神経の活動は、興奮性と抑制性の神経細胞のバランスで成り立っているが、新たに生じた神経細胞の大半は抑制性だった。これは、脳卒中後にてんかんが起きるのを防ごうとするためではないかという。