成長期における運動経験の有無が月経状態に及ぼす影響 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/15500489

スポーツ選手に認められている無月経、摂食障害、骨粗霧症が、思春期の運動経験に乏しい若年女性に対しても同様に複合的な形で認められるなら、運動の特性を無視した現代女性一般の問題としても考えられるが、そうでなければ、思春期における運動への取り組み方を考え直す為のエビデンスとして有効であるとして企画された。本研究の被験対象者は、これまで通りに、日々激しいトレーニングを行っている高校女子選手に加えて、一般高校生、そして成長期の身体活動量が少ない芸術系大学生とし、体組成、骨密度、摂食態度、月経周期状態を調査し、これらの項目の相互関連に関して検討を行った。研究期間内にこれらの項目を測定した人数は、一般女子高校生が145名、高い競技レベルの高校女子スポーツ選手が57名、女子大学生が356名であった。一般女子高校生での続発性無月経者の発現率は、全体の2%程度と低いものであった。これに対して競技スポーツ選手では、続発性無月経または初経遅延者が約10%と高率で認められた。高校スポーツ選手では、無月経または初経遅延者の全てが低体重および低体脂肪率であり、摂食態度も異常またはそれに近く、血漿レプチン濃度も低値であった。高校女子スポーツ選手では、日々の激しいトレーニングによるエネルギー消費量の増大に加えて、摂食を制限することによるエネルギー利用率の低下が、体重および体脂肪率を低下させていることが判明した。特にこれらの現象は、審美性のスポーツにおいて観察されることから、競技の審査基準の見直しが必要であると考えられた。女子大学生においては、スポーツ経験または実施状況、摂食態度および身体組成に関わらず続発性無月経者が1人だけであり、その他は周期異常が認められるものの月経を有していた。3年間の研究成果は、思春期女子の競技スポーツ活動のあり方が、その後の将来に亘る健康に大きな影響を及ぼす可能性を示した。