どこまでやせればいいの(読売新聞やってみようシリーズ) | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

変なニュース面白いニュース、野球、サイエンス、暇つぶし雑学などなど

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=17239

より

気になるメタボ
 「腹が出てきた」と気にしている人は多い。でも、どこまでやせれば健康なの?

 東京・大手町にあるスポーツ施設。夜6時を過ぎると、会社帰りのサラリーマンらが続々と汗を流しに訪れる。

 約3年前から週3回程度通っている男性会社員(45)は、「体に脂肪が多くなり通うようになりました。最初、84キロあった体重は4キロ減ったけれど、妻には『まだ腹が出ている』と言われています」と、トレーニング器具に向かった。

 また、初めて施設を訪れた別の男性会社員(42)は「30代の時から体重が約30キロ増え、90キロを超してしまった。腹回りも90センチ以上あり、完全にメタボ。来年夏までに80キロを目指したい」と意気込んだ。

 昨年から、腹囲測定を行うメタボ健診が始まった。腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上か、体格指数の「BMI」(計算式は別掲)が男女とも25以上がメタボの条件になる。この健診が始まったことで、体形を気にする人は増えた。

 「BMI25以上」は、日本肥満学会が決めた肥満の定義。標準は22だ。同学会理事で東京逓信病院内科部長の宮崎滋さんは「肥満症の診断基準を作った10年前、BMIが22程度の人が、男女とも最も死亡率が低いという国内外の研究報告が複数あり、この基準を採用した」と説明する。

「小太り」長生き?
 ところが最近、BMI25を少し超えたぐらいの人の方が長生きするという研究報告が相次いでいる。

 厚生労働省研究班(班長=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)が40~69歳の男女約9万6000人を約10年間追跡した研究では、がんや心臓病に最もなりにくい男性は、たばこを吸わず、酒を時々飲むBMI25~27の人だった。女性はBMI19~25ぐらいの人の死亡率が低かった。

 津金さんは、「栄養状態が良ければ血管が丈夫で、感染症やがん細胞に対する抵抗力もあると推測できる。若くて肥満の人は、将来的に血圧や血糖値などに影響が出る可能性があり、やせる必要があるが、中高年で小太りの人はそれほど気にしなくていい」と解説する。

 また、東海大医学部教授の大櫛陽一さんが、神奈川県伊勢原市の男女約2万人を平均7年間追跡し、そのデータを基に人口10万人当たりの年間死亡率を割り出したところ、死亡率が最も高いのは男女ともBMI18・5未満の人だった。そこからBMIが25~27ぐらいに上がるまで、死亡率は低下し続けた。

 大櫛さんは「BMI18・5未満のやせすぎは問題。BMI30前後の人は体重の増加に気をつけた方がいい。男性は22~27、女性は20~27程度であれば、体重そのものは、それほど気にしなくてもいい」と話す。

 身長1メートル70の男性でBMI22~27というと、体重は64キロ~78キロ。健康的な体重の幅はとても広いことが分かる。(利根川昌紀)

3~6か月で3キロ目安
【体重を増減させる時の注意点】
〈体重を減らす場合〉
・急激にやせると、脂肪だけでなく筋肉も落ち、リバウンドも起こしやすい。3か月から半年かけて3キロ減が目安
・運動は歩くことが基本。1日1万歩か60分程度を目指す。無理なら7000~8000歩、40分程度歩く
〈体重を増やす場合〉
・増やす場合も、3か月から半年で3キロ増が目安
・食事は栄養バランスを心がけ、食べて太るのではなく、適度な運動もし、筋肉を増やす