散歩で記憶力もアップ(読売新聞やってみようシリーズ) | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 最近、散歩をテーマにした本やテレビ番組が目立っている。地味なレジャーではあるけれど、どんな良さがあるんだろう?

冒険気分味わえる

 俳優の地井武男さん(67)は、散歩が趣味。人気テレビ番組「ちい散歩」(テレビ朝日系列)でおなじみだ。番組撮影を含めると週に5日歩く。私生活では1日に約1時間半、7、8キロ歩くことが多い。

 「四季折々の木々の変化、虫や鳥の声、味わい深い建物、気になる看板、人々の営み、ファッション……。一見何の変哲のない街でも、歩き出せば必ず何か発見がある。それが楽しくて、飽きないんだよね」と散歩の魅力を語る。

 東京都内の自宅近くに7、8通りのコースを自分なりに設定し、その日のスケジュールや体調、気分に合わせたコースを歩くのが地井さん流だ。

 例えば、水辺の道、緑の多い道、好きな野球やサッカーなどの練習風景が眺められる道。有酸素運動を意識した早歩き(ウオーキング)用にも、1時間や3時間コースなど、持ち時間に合わせて複数用意している。

 休日には、数千円をポケットに入れ、コーヒーがおいしい喫茶店や本屋に立ち寄ったり、スケッチブックに風景を描いたり。あえて知らない道に踏み込んで、冒険気分を味わうこともある。

 若いころは体力作りにジョギングをしていたが、50歳を過ぎて、体に過剰な負担がかからないよう歩き始めた。以来、大きな病気もしていない。「散歩は楽しみながら適度な運動になり、気分も爽快(そうかい)になる」と笑顔を見せる。

心身に好影響
 散歩の効用について、「病気にならない歩く習慣」などの著書のある神経内科医、米山公啓さんは「身体、脳、心に良い影響がある」と話す。

 脂肪を燃やす有酸素運動として、メタボリックシンドローム対策になる。足腰の筋肉の衰えや骨粗しょう症を防ぎ、転倒骨折の予防にもなる。

 歩行が認知症予防や記憶力アップにつながる――との研究結果も、世界で複数報告されている。これについて米山さんは「太ももの大きな筋肉が動くことで、脳への血流が増える。その結果、脳内の神経細胞が活性化したり、記憶をつかさどる脳の海馬の毛細血管も増えたりするからだと考えられる」と解説する。

 地井さん自身、「芝居のセリフは外を歩きながらの方が覚えやすい」と実感している。

 散歩の効用は、単なる運動効果だけにとどまらない。常に身の回りの情報が変化することが脳への刺激になる。さらに、歩くと、気分の安定に関係する「セロトニン」などの神経伝達物質が増えるとの報告もある。心を落ち着かせる効果も期待できるわけだ。

 散歩は費用もかからない。楽しみながら、体と頭を刺激してはいかがでしょうか。(高橋圭史)

テーマ決めて歩いてみよう
 散歩も、楽しくなければ続かない。米山さんは「テーマ(目的)を持って歩いてみては」と提案する。

・古地図を見ながら
・公園や美術館、お店めぐり
・変な看板や電柱広告など、日によって注目するポイントを変える
・歩きながら地図を作る(空間把握能力が上がる)
・自宅を中心に、日によって四方八方違う方角に向かう(新発見があるかも)
・歩数や距離、体重の変化など、数値を記録し達成感を感じる

 「1回30~40分で週3回」が理想的だという。夏場はタオル、冬場は防寒具を用意する。長時間歩く時は水分補給を忘れずに。

(2009年11月5日 読売新聞)