読売新聞 最新医療 のみ込んだ空気がたまる(かみしめ呑気症候群) | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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かみしめ呑気症候群

 横浜市の30歳代の女性会社員は、2年前から、おなかの膨満感やげっぷなどに悩んでいた。いくつか医療機関を受診したが、「問題ない」と言われるばかり。しかし症状は消えず、うつ状態になり、頭痛や首、肩のこりも出てきた。そこで、同市の心療内科「ベイサイドさちクリニック」を受診すると、歯をかみしめることが原因で起きる「かみしめ呑気(どんき)症候群」と診断された。うつ状態の治療と同時に、マウスピースを日中装着すると、1か月足らずで症状が改善した。(藤田勝)

 「かみしめ呑気症候群」は8年前、当時、東京医科歯科大教授だった同クリニック院長の小野繁さんが提唱した。

「呑気症」は、のみ込んだ空気が胃腸にたまり、げっぷやおならが増えるのが特徴だが、原因がはっきりせず、有効な治療法がなかった。小野さんは多くの患者を診るうち、呑気症に歯のかみしめがかかわり、多様な症状につながることに気がついた。

 意外なようだが、消化管内のガスの6~7割はのみ込んだ空気で、食物から発生するガスは1割しかない。では、いつ空気をのみこむのか。小野さんによると、人はだ液を飲む時に、3~5ccの空気を同時にのみ込む。「それ自体は異常ではないが、頻度が増えると病気になる」と話す。

 もちろん食事によっても起きるが、問題なのは食事以外の時間に無意識に行うかみしめ。かみしめると舌が上あごに押しつけられるため、だ液が舌の上をのどの方向に流れ、のみ込んでしまう。かみしめなくても、口の筋肉を緊張させて舌を上に動かし、だ液を飲む癖のある人もいる。

 こうしたかみしめや口の筋肉の緊張は、精神的な緊張やストレスが強いほど起きる。〈固唾(かたず)をのむ〉は、まさにこの状態を表した言葉だ。

 症状は、呑気症と同じ症状のほか、かみしめによる筋肉の緊張が、あごやこめかみの痛み、首や肩のこりをもたらす。ガスのたまった胃腸が心臓を圧迫し、胸の痛みを訴える人もいる。

 精神面への影響も少なくない。周りの人が鼻に手を当てたり、急に席を立ったりするだけで、「自分のガスがにおっている」という妄想にとりつかれ、不登校になる子どももいるほどだ。

 小野さんは「この病気を知らずに、内科や消化器科、歯科、整形外科、脳外科、精神科などをさまよう『ドクターショッピング』に陥る患者が多い」と語る。

 治療の基本は、発症の仕組みを理解してもらうこと。それだけで自分の症状に関する不安が解消される。精神症状が強い場合は、抗うつ薬や抗不安薬などの薬物療法やカウンセリングも必要になる。

 特にかみしめが多い人には、歯に合わせた薄いマウスピースを日中装着し、舌が上あごにつきにくいようにすると、2~3週間で症状が改善する人が多いという。

 日常生活では、▽ふだんから奥歯をかみ合わせない▽息は鼻から吸って口から吐くように心がけ、舌が上あごにつきにくくする▽かみしめが起きやすいうつむき姿勢を正す▽空気をのみこみやすい早食いや一気飲み、鼻づまりを避ける――などに気をつけたい。


かみすぎもダメって事で