【法廷から】裁判官が“うっかりミス”で検察官に陳謝 量刑判断に影響したら… | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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より

 もし、裁判官の“うっかり”が、判決の事実認定や量刑判断に影響するものだったら…。

 無免許の上に酒を飲んで車を運転したとして、道交法違反の罪に問われた土木作業員の男性被告(35)の公判の中で、男性裁判官が法律を勘違いし、17日に開かれた判決公判で陳謝する一幕があった。

「前回の法廷で私は『中型自動車という規定は道交法の中にない』と言いましたが、確認したら中型自動車はありました。検察官におわびいたします」

 裁判官は判決主文と理由を読み上げた後、声のトーンを落とし、突然、謝罪の言葉を口にし始めた。

 まばらだった傍聴人も、裁判官の謝罪という珍事にあぜんとした様子。裁判官は釈明を終えると、何事もなかったように被告への説諭を始めた。

 裁判官の勘違いがあったのは、今月10日に開かれた初公判でのことだった。

 「無免許、酒気帯びの状態で、東京都江東区亀戸の道路において、中型貨物自動車を運転した」と、起訴状を読み上げた検察官に、この裁判官はいらついたように口を開いた。

 裁判官「中型というのはどの程度の大きさの車ですか」

 検察官「ええとですね…」

 裁判官「分からないんですか。起訴されたのなら説明できるんじゃないですか」

 検察官「中型は道交法上に定められた…」

 裁判官は説明しようとする検察官をさえぎった。

 「道交法に中型なんて書いてないでしょ。法廷においでくださるなら、きちんと調べてからにしてください」

 検察官「調べます」

 裁判官「私の方で調べておきますからいいです。よく考えてから立証してください」

 裁判官のあまりにすさまじい剣幕に、検察官は小声で「すいません」と謝るのがやっとだった。その後、検察官はおどおどと、やや口ごもりながら、なんとか論告求刑まで終えて、裁判は即日結審した。

 「中型自動車」は平成19年2月施行の改正道交法第3条の中に、新しい車両区分として新設された。大型自動車と普通自動車の中間に位置し、総重量が5トン以上11トン未満などの条件の車を指す。被告が運転していた中型貨物自動車も中型自動車に分類される。

 裁判官は勘違いの理由については語らなかったが、交通問題に詳しい弁護士は「道交法について裁判官が古い知識しか持っていなかったのではないか」と推測する。

 初公判の法廷には数人の司法修習生が見学に来ていた。勘違いの結果、検察官が反論できないほど威圧的に迫る裁判官、そして、正しいはずなのに自信を持って反論できない検察官…。そんな姿は、司法修習生という、将来の裁判官や検事、弁護士にはどう写っただろう。

 それだけではない。今回は直接判決内容に影響しないうっかりミスで済まされるかもしれないが、量刑や事実認定が変わるような間違いだったとしたら、謝るだけでは済まない。

 国民が刑事裁判に参加する裁判員制度のスタートは目前だ。法律の知識がない“素人”が、有罪か、無罪か、そして、その量刑まで判断する制度のなかで、裁判官は裁判員の知識をサポートし、適切に助言する役割が求められている。裁判官は淡々と「間違っていました」と法廷で検察官に謝った。その言葉が裁判員の前で発せられるようなことがあってはならない。