久しぶりにSTARMARIEの歌詞解説です。

 

安心して下さい。

歌詞は好きなように解釈いただきたいので、

例えこれからご覧いただくことと違っていてもOKです!!

 

 

今回は、ストレートに書いたつもりが、

「思ったより難解」という評価をいただいたため、選びました。

 

 

『スペル・オブ・ザ・ブック』です。

 

 

STARMARIEの最新楽曲で、

8/21ステラボールでお披露目(ライブタイトルも同じ)、音源はその少し前に発表。

 

 

今は、各サイトで配信されていて、

最新のアルバムにも収録されています。

 

ギターがうなるような、疾走感あるhanawa作品です。

 

 

 

この楽曲は、遡ること、2016年4月。

 

赤坂BLITZの単独「星祭りの夜」の際に、

ステラボール公演の告知を出すにあたり、

タイトルを決めなければならない、から始まりました。

 

 

思えば、この流れは昨年から始まっており、

『魔力が消える』『幻木町の怪人』『星祭りの夜 君を殺しに行く』

そして『スペル・オブ・ザ・ブック』。

 

いずれも先にタイトルを決めてから、曲を作りました。

なかなか苦しかった!

 

 

 

もちろん、このタイトルですから、

本をテーマにすることは決まっていたのですが。

 

スペル=spell=呪い、という意味があるそうで、

本の呪い、ということで、

 

さぁ、どうやって呪いにしようか、とまずは考えたわけです。

 

 

 

作詞の時間配分はいつも、テーマ(話の核)が出てくるまでが8割。

1割で作詞、1割で修正、です。

 

 

最初アイデアがまとまるまで、すごく時間がかかるわけです。

 

 

 

たくさん考えて、いつかの飛行機の中で書いた歌詞がありましたが、

でも、すぐにボツにしたりしました!

 

 

全部白紙にして、するといろんな人から催促が来るわけです。

ちょうど、ステラボールの準備も始まり、てんやわんやになっていて、

「これはもしや新曲なしでも良いのでは!?」と企んだこともありました。

 

 

逃げ出して、放置して・・・

 

 

 

 

ところで、僕は本を読むのが好きで、

何冊かまとめて買って来て読むのですが、

「あ、どうせ本の歌なら、本と同じような構成にしたら面白いな」と思ったんです。

 

うん、これだ!

 

 

再度作詞に入りました。

 

 

しかし問題が一つ。

 

作詞の構成と本の構成は、根本的に違う。

 

作詞は、1つのテーマに沿って進行し、

例えばサビで同じこと言うなど、よくあることですよね。

 

僕もそれが好きなんですよね。

 

 

だからどうしようかって。

歌詞が難しいと覚えてもらえないんですよね。

 

例えば、

 

『涙のパン工場「コンセル・カマタ」』

『さよならお弁当』

 

この辺りはサビ歌詞が同じだから覚えやすい。

耳に残る。

こっちのほうが基本的に好き。

 

 

『本田教授のダイイングメッセージ』

『帝王の華麗なアリバイ』

『サーカスを殺したのは誰だ』

 

この辺りの曲はまさにそれで、

ストーリー重視のため、歌詞がけっこうバラバラ。

面白いけど、難解にならざるを得ない。

 

 

こういった理由から、

今回の曲も難解に見えたんでしょうかね。

 

 

 

 

 

さて本題の歌詞ですが。

 

 

【あらすじ】は、

主人公の男。

信じていた。というのは、背反で、何かに裏切られたのでしょう。

(後半で答えがあります)

 

自分は不幸だと思い込んだ、いわゆる駄目な性格ですね。

失敗の原因は他にある、と思い込むタイプです。

 

その男が、自分の人生があらかじめ書かれた本を開く、という話です。

 

 

【はじめに】は、客観的な言い回しで、

読者(あなた)に問いかけています。

 

 If 君の手元に その本が届いたとしたら

 開く?見たくない?書き直したい?忘れたい?

 

 

 

【第1章 迷い込んだ 後遺症の街】

 

主人公の男は、いろんなことに傷つきながら生きています。

世の中は汚い。実に汚い。正しいことが間違っていて、間違っていることが正しい。

傷は増え、後遺症が残ります。

知らないほうが良かった。そんな"嘆き"が第1章です。

 

 

【第2章 そこは図書館 呪われし本が眠る】

 

ストーリーは進みます。

このまま不幸な自分はどうなってしまうんだろう。

そんな中、ネットなのか、口コミなのか、"あの本"の存在を知ります。

 

 

【第3章 だけど本を開いてはいけない】

 

また客観的になります。

問いかけます。

この歌で一番言いたいフレーズが出てきます。

 

"過ちも成功もすべてが連鎖していくから"

 

 

【第4章 犯人とは 過去に会っている】

 

唐突ですね。犯人って一体誰でしょう?

(後で答えが出てきます)

 

主人公はとうとう本を開いてしまいます。

 

生い立ちから 昨日の食事 あの日の嘘の意味まで

見事なまでにすべてが記載されていました。

 

忘れていた思い出なんかも書かれていました。

 

一体誰がこんなことを?

 

 

【最終章 母の優しさの正体 つまり 彼女が去った理由(わけ)】

 

ここの解釈が一番難しいかもしれません。

 

 

本を開き、幼少期をもう一度見返します。

 

過去を思い返すたびに、無償の愛の存在に苦悩します。

理解できない自分に気付きます。

 

小さい頃、母がくれた優しさ。

 

思い出すたび、胸が苦しい。

 

 

そう、人生を不幸にした犯人は、自分自身の中にいる。

 

弱さ。甘え。傲慢。

 

自分の人生を狂わせていたのは、それらの自分自身だった。

何か失敗すると必ず誰かのせいにしていた自分自身だった。

 

 

信じていた。

というのは、彼女に裏切られたんですね。

無償の愛を理解できない人の元からは、当然人は去って行く。

それは自然なことでしょう。

 

 

【あとがき】

 

やっとそういったことに気付いた男は、

いよいよ未来のページに進みます。

 

 

やり直そう。

 

 

しかし、未来のページはありませんでした。

 

今日が最後でした。

 

 

人はいつも忘れてはいけない。

 

失敗する時も、成功する時も、自分一人ではないということを。

そして何が起きても、誰も憎まず、そして誰しもに感謝をすることが大事である。

 

 

そうすれば、スペル・オブ・ザ・ブックなど、

出会うこともないでしょう。

 

 

自分の人生があらかじめ書かれた本、って、

実は、ファンタジーでも何でもないんです。

 

 

本を書いているのは、自分自身です。

 

過去は記憶として残っているのは当然だし、

未来は自分の手で加えれば良いだけなんだから。

 

 

さて話を戻すと、男は、他界してしまったのでしょうか。

それとも相変わらず、誰かのせいにして嘆いているのでしょうか。

 

 

解釈、求む!

 

 

 

スペル・オブ・ザ・ブック

作詞:yusuke.t 作曲,編曲:hanawaya(CWF)

 

 

【あらすじ】

 信じていた。

 不幸を背負った男は

 人生があらかじめ書かれた本を開く

 まずは過去のページを客観視で閲覧

 恐る恐るめくる未来のページ

 

【はじめに】

 If 君の手元に その本が届いたとしたら

 開く?見たくない?書き直したい?忘れたい?

 

【第1章 迷い込んだ 後遺症の街】

 裏切られるたび 斜めにみんな憎んだもんさ

 スペル・オブ・ザ・ブック 知るな 真実でも知るな

 未来も過去も 全部ノンフィクションさ

 知らないフリして だから僕らはずっと幸せだった

 

【第2章 そこは図書館 呪われし本が眠る】

 古い廊下抜けて 確かにそれはあった

 カードを作り 魂の品番を記載する

 そして老人が持ってくるまで一服

 

【第3章 だけど本を開いてはいけない】

 なぜか過ちも成功もすべてが連鎖していくから

 

【第4章 犯人とは 過去に会っている】

 生い立ちから 昨日の食事 あの日の嘘の意味まで

 スペル・オブ・ザ・ブック 知るな 真実でも知るな

 あなたと僕は まるでシリーズ物みたいだね

 知らない・・・

 

 知りたい・・・

 

【最終章 母の優しさの正体 つまり 彼女が去った理由(わけ)】

 違和感に気づく この本は 今日の日付で終わってた

 「だから開けちゃ駄目だって言ったのに。聞かない!」

 

【あとがき】

 もしも"未来を知れる"

 すなわちそれは 他界を意味するかもしれない

 スペル・オブ・ザ・ブック 知るな 真実なら知るな

 いつか 電子版が 配布されたとしても

 知らないフリして だから僕らはずっと幸せなんだ