バイト終わって駅まで歩いてたら
黒人が難波の街並みに立ってた
その黒人は道路脇で中途半端に右手上げてタクシーを止めようとした
でもタクシーはそれに気づかずスルー
その瞬間ぼくと黒人の目が合って
黒人は恥ずかしかったんか
タクシー止める気無かったしみたいな顔して
その上げた右手でほっぺたポリポリ書きよった…
恥ずかしかったんやろな…
人間だもの
そんなこともあるよ
でもな黒人
よく聞けよ
今からおれ大事なことゆうからよく聞けよ
お前の恥ずかしがるとこそこちゃうねん
いやわかる
お前のその気持ちすごいわかる
おれも授業中珍しく手上げようとしたときに限って
アホの勢いだけのヤツが張り切って手ぇ上げて
そのまま頭かいたりとかしたことある
でもな
お前に至ってはそんなレベルじゃない
お前の恥ずかしがる所はな
その右腕にくっきりと漢字で刻まれた
「達人」
のタトゥーやで
おれはお前が右腕を上げる前から
お前のことを笑ってたんやで
お前のことをあざ笑ってたで
そしてその右腕を上げて
お前はタクシーにスルーされた
おれの心の中は爆笑やったで
「全然達人ちゃうやん!
凡人以下やん!
その右腕の「達」の部分だけ×して横にせめて「凡」と書き直せ!」
そう思ってた
でもおれもお前もなんも無かったみたいな顔したな
おれとお前は
いまこの地球上になーんも起きてなかったみたいな顔したよな
なんやったらお前おれと目ぇ合ってないぐらいの勢いやったよな
でもそれはやりすぎやで
おれはそうゆう穴は見落とさんで
相手が悪かったな
黒人よ
次おれにそうゆうとこ見られたら
おもっきり指さして笑うからな
その黒い顔が羞恥心で真っ赤になるまで笑うからな
赤人なるまで笑わせてもらうからな
そんときは「達」に×しておれが横に「赤」って書くからな
それまでは自分の肌が黒いよろこびをしっかりと
噛みしめて生きていけ
黒人よ…
いや!
「達人」よ…