地方議員の不祥事が止まらない。


東京都議会のセクハラやじ兵庫県議の号泣会見などに続き、8日には大阪維新の会の大阪府議がLINEをめぐって女子中学生とトラブルになり謝罪。


幹事長の松井一郎知事が「大人として成長が足りない」と苦言を呈する展開になった。


政治家の犯罪といえば汚職などの権力犯罪が思い浮かぶが、「政治家として」というより「大人として」の課題を突きつけられる事例が目につく。


◆感情を抑えきれず


記憶に新しいのは、兵庫県の野々村竜太郎元県議(47)による「号泣会見」。政務活動費の不正使用という“政治とカネ”の問題だったが、話題をさらったのは、子供のように泣き叫びながら弁解する野々村氏の姿だった。


北海道議会の男性議員は7月中旬、欧州視察で利用した日本航空の国際線機内で、リクライニングシートの倒し方をめぐり男性と口論に。拳を振り上げ、客室乗務員にも「倒産した会社が何を言っているんだ」と暴言を吐いた。本人は「感情を抑えられなかった」と陳謝し議員辞職に発展。同月には元神奈川県議が危険ドラッグを所持していたとして逮捕された。


◆「これまでもいた」


 地方議員の質が下がっているのではないか、との指摘に対し、神奈川県逗子市長を務めた龍谷大の富野暉一郎教授(地方自治論)は「不祥事が増えているのではなく、これまで議会内に蔓延(まんえん)していたものが報道などで世間の目が届くようになり、顕在化しただけ」と指摘する。


 これだけ不祥事が続けば地方議員不要論も高まりそうだが、富野氏は批判的だ。 「こうした意見は民主主義に対して乱暴。きちんと活動する議員もおり、メディアや市民が議会のおかしさをチェックし続けることが改善につながる」。


◆根本から変えるしか…


 一方、名古屋大の後房雄教授(行政学)は、議会のあり方から見つめなおすべきだと提言する。

 「地方議員は予算案の提案権がなく、首長が提案した予算案に可否を示すことしかできないため議員は責任を持って勉強しない。行政や首長は議案を否決されたくないので丁重な扱いをするから、まともな議員は育たない」と厳しい。


 では、どうしたらよいか。後氏は「予算提案権を持たせたり、議会内から首長を選ぶ体制にしたりするなど、やりがいのある職業になれば、議員の水準が上がる。小手先で対処するのではなく、根本から変えるしかない」と話した。