人事院は、今年度の国家公務員の給与について、賃金の引き上げを図る動きがみられる民間との格差を解消するため、月給は平均で0.27%、ボーナスは0.15か月分それぞれ引き上げるよう、内閣と国会に勧告しました。

国家公務員の月給とボーナスの引き上げが勧告されるのは、いずれも7年ぶりです。


人事院の一宮なほみ総裁は7日午前、総理大臣官邸を訪れ、安倍総理大臣に今年度の国家公務員の給与改定について勧告を行いました。


それによりますと、ことし4月の国家公務員の平均給与は40万8472円で、民間企業を1090円、率にして0.27%下回りました。



民間企業では、この春にベースアップを実施した事業所の割合が去年より増えるなど、賃金の引き上げを図る動きがみられるとして、民間との格差を解消するため、月給を平均で0.27%引き上げるよう、勧告しています。


また、ボーナスも0.15か月分引き上げ、4.1か月分とするよう求めています。


国家公務員の給与改定は、景気の低迷などを反映して、据え置きや引き下げが続いていましたが、月給とボーナスの引き上げが勧告されるのは、いずれも平成19年以来、7年ぶりです。


勧告どおりに実施されると、国家公務員の平均の年間給与額は、行政職で7万9000円増えて661万8000円となります。


このほか、今回の勧告では、民間に比べて高いとされる地方勤務の国家公務員の給与を見直すため、勤務地に応じて支給している「地域手当」の支給割合を変えることや、世代間の給与配分を見直すため、50代後半層の職員の給与水準を最大で4%程度引き下げる ことなども求めています。


財政への影響は

財務省によりますと、人事院勧告のとおりに国家公務員の給与が引き上げられた場合、国の人件費の総額は、今年度の当初予算より820億円程度増えることになります。



また、地方公務員の給与も人事院勧告並みに引き上げられるとすると、自治体が負担する人件費の総額は2200億円程度増えるとしています。


官房長官「今後は国政全般の観点で」

菅官房長官は午前の記者会見で、「勧告は、アベノミクスによる民間企業の給与の上昇を反映して、7年ぶりに引き上げる内容のものだと認識している。今後はこの勧告を踏まえて、関係閣僚会議を開催するなど政府内で国政全般の観点から議論していきたい」と述べました。