「コミュニケーション力をつけてほしい」

親御さんのこの様な悩みをよく耳にします。

 

私はネイス体操教室やチャイルドカウンセラーといった仕事上、

子ども達や親御様と接する機会が多くあります。

その中でも特に多いのが

「コミュニケーションが取れる大人になる為にはどうすればよいですか」

という質問です。

 

そもそも

・コミュニケーションとは何なのか

・コミュニケーション力を伸ばす事はできるのか

 

今日はこのテーマについて解説していきたいと思います。

  1. コミュニケーション力とは?
  2. なぜコミュニケーション力が重要か?
  3. コミュニケーション力が伸びにくい時代
  4. コミュニケーションを伸ばす「3つの経験」
  5. まとめ

 

 

1. コミュニケーション力とは?

 

コミュニケーション力とは、他者と意思疎通を上手に図る力の事です。

ただ相手とやり取りをする事ではなく、

相手の感情や意思を汲み取りながら、自らの意思をきちんと伝える力が

コミュニケケーション力です。

 

 

2. なぜコミュニケーション力が重要か?

 

コミュニケーション力はなぜ必要なのでしょうか。

社会で生きていく上で、人との関わり、

つまりコミュニケーション無しでは生きていくことができないからです。

生まれたばかりの時は家族のみとの関係ですが、

成長していくにつれ学校や社会などの公共の場所に出ることとなり、

多くの人との関わりを持つこととなります。

 

学校では先生や友達、上級生、下級生。

学業が修了し就業すれば上司、同僚、部下、取引先などとの関係

そして交際や結婚などもでてくるでしょう。

 

このように場面は変われど、必ず人との関わりは続きます。

その中で、自らの意見をきちんと伝え、相手との関係を築いていく

コミュニケーション力は、より良い人生を送るために必要不可欠なのです。

 

 

3. コミュニケーション力が伸びにくい時代

 

多くの親御さんは自分の子どもにコミュニケーション力をつけてほしいと思っています。

 

 

これからの時代、AIや5Gといったテクノロジーの台頭で生活はより便利にはなります。

しかし子ども達にとってはとても生き難い時代になってくるでしょう。

 

先述したとおり、

コニュニケーションは社会で生きていく上での必須スキルであることは

理解頂けたと思います。

問題はそのコミュニケーション力を培う場面がどんどん少なくなっていることです。

 

培った事のない力は本番で発揮することはできません。

練習をしたことがない選手が突然試合に出るようなもので、

結果を残せないどころか大怪我をする可能性もあります。

 

私は1980年(昭和55年)生まれです。

当時は当然ながらもスマホやメールもなく、

中学卒業間近にようやくポケベルが流行り出した時代です。

小学生時代友達と連絡をとる術は自宅の固定電話、通称「家電(いえでん)」のみでした。

手書きの電話帳からお友達の家電を回し、電話越しに出てくる友人のお母さんに挨拶をし、

呼び出してもらう。

今ご覧いただいている親御さまも経験があるかと思います。

過去の経験ですが、林君の家はいつもお母さんが出て快く繋いで頂けるのですが、

岸田君の家はかなりの確率で岸田君の祖父が出るのです。

祖父は電話を掛けた僕に対し

「遊ぶ前に宿題は終わったのか?」「ゲームばかりするんじゃないぞ」

とよく詰め寄られていました。(遊びの約束の電話時にです 笑)

子ども心にそれが怖く「おじいちゃんは出ないで」と思いつつ電話を掛けていました。

不運にも祖父が出て宿題のことを聞かれたら

「もう終わってます!」と毅然と伝えようなど準備をしていたことを今でも覚えています。

今思えば、これぞまさにコミュニケーションの修行場所でした。

「緊張と共に何を伝えるか、相手が何を言うのかを予測しながら電話を掛ける」

 

当たり前ですが、

コミュニケーション力を伸ばす方法はコミュニケーションでしか伸ばせないのです。

 

当時はなかったスマホが現代にはあります。

気軽に直接個々とリアルタイムに連絡が取れるので、

怖いおじいちゃんも出てきませんし、気を使ったり嫌な思いをする必要もありません。

それが故にコミュニケーションが伸びにくい時代でもあるのです。

 

 

4. コミュニケーションは伸ばすことが出来るのか

 

「コミュニケーション力を伸ばすにはどうすればよいですか?」

結論から申し上げるとコミュニケーション力を伸ばすことは可能です。

それには幼少期から児童期にかけての時期がとても重要です。

 

この時期に以下の「コミュ力アップ3つの経験」ができるとコミュニケーション力は

劇的に伸びます。

 

 

①対面での人との関わりを増やす(表情や雰囲気の読み取り)

 

②会話のキャッチボールで会話力を増やす(自己主張・他者理解の経験)

 

③人との関わりで緊張を経験する(環境へ慣れる経験)

 

 

①対面での人との関わりを増やす(表情や雰囲気の読み取り)

実際に他者と対面することで、

その場の雰囲気や相手の感情を読み取る経験を増やすことができます。

その他にも、対面の機会が特に減ってしまうこの時期は映画鑑賞も良いでしょう。

アニメではなく家族で観れる様なストーリーでかつ実写映画がおすすめです。

実写の理由は人の表情や雰囲気がアニメよりもより伝わりやすい為です。

 

②会話のキャッチボールで会話力を増やす(自己主張・他者理解の経験)

子どもと多くの時間を過ごす家族の会話はとても重要です。

出来る限り家族間での会話を増やして頂くことが望ましいのですが、

より会話力が付く為に意識して頂きたい事があります。

 

それは問いかけの方法です。

「うん」「やだ」など、答えが絞られている質問はクローズドクエスチョンと言い、

「本が好きだ」「お肉が食べたい」といった答えに自らの意思が乗る質問を

オープンクエスチョンと言います。

当然ですが、オープンクエスチョンの方が会話のキャッチボールは成立しやすくなります。

難しく考える必要はなく、「なにが」「なぜ」を質問に入れるだけで、

子どもが答えを考えるオープンクエスチョンに早変わりし、会話も続きやすくなります。

 

・クローズドクエスチョン:

親「今日は楽しかった?」

子「うん」

 

・オープンクエスチョン:

親「今日は何が楽しかった?」

子「うーん、パパと行ったお買い物が楽しかったよ」

親「どうして?」

子「本屋さんで絵本をたくさん見れたから!」

 

会話が増える事で、思考力や語彙力を高め、会話の選択肢が増えてきます。

そして自己表現や他者理解が会話力が伸びるのです。

 

③人との関わりで緊張を経験する(環境へ慣れる経験)

コミュニケーションは経験からしか学べない。

これはコミュニケーションに限った話ではありません。

 

面白い例え話がありまして、

泳げない人に対し「いつプールに入るの?」と質問したところ、

「泳ぎ方を覚えてからプールに入ります」と答えた、という笑い話です。

しかし、現実にもこの様な事は多々あるのではないでしょうか。

初めからうまく出来る人はいません。

出来るようになってからやろうとすること自体が間違っているのです。

まずは実践し、失敗を重ねる。

その中でしか成功は見つけられない事を幼少期に学んでおく事がとても重要です。

 

実践例として、可能な限り親御様のコミュニティーに同席させるのも一つの方法です。

普段の習い事や学校の先生とも違う大人との対面を経験することで、

緊張や新鮮な会話を体験することが貴重な経験の一つとなります。

その場合、緊張や恥ずかしさできちんと挨拶や会話ができない場合があります。

その場合でも子どもを責めないであげて下さい。

目的はあくまでもその経験です。

立ち回りよりも「緊張した?」「どんな印象だった?」などその時の感情を共有してあげる事で、

緊張することは普通であると感じ、環境への慣れへ繋がるはずです。

 

 

5. まとめ

今後ますますテクノロジーが進み、全ての車が自動運転になったとしても、

人との関わりがなくなることはありません。

コミュニケーションは生きていく上で必要不可欠な力なのです。

嬉しかったことには、ありがとうと感謝を伝える、嫌なことをやめてほしいと言える、

困った時は助けてと助けを求められる、そんなコミュニケーション力が多くの子ども達に

身に着くと素敵ですよね。

今日からすぐに変わる力でもありませんが、身につける事が難しい力でもありません。

最も関わりの多い親御様が、子どもの日々のコミュニケーションについて意識し、

声掛け一つで子どもの将来のコミュニケーション力は大きく変わります。

3つの体験を多く積み、幸せな人生を歩める様、子育てを楽しみましょう。