てんとう虫ではありません

赤青黄色の衣装をつけたてんとう虫がしゃしゃるわけでは無いんですが。

写真を見直していたら色々揃えてたものがありました。

そう。赤青黄色のブダイたちです。太平洋の磯に住むブダイの仲間は豊富で、彩り鮮やかでコレクションの甲斐があります。

ブダイ

スズキ目ベラ亜目ブダイ科ブダイ属。

一般的なブダイですが、愛南ではイガミと呼ばれています。犬が歯を剥き出して喧嘩する様をいがむと言い、ムキャッと出た歯を喧嘩している口になぞらえてイガミ。冬に美味しい鍋の具材として人気の白身魚ですが、鍋に入れると固くしまるタイプで脂肪は身に入らず、タラの白身に似た食感になります。鍋も美味しいんですが、鍋よりも他の調理法が好きですね。ゼラチン質の皮目が美味しい。ブダイ科のなかで一番やる気がないファイトです。オスとメスで体色が違い、赤ブダイと呼ばれているのはメスの方。オスは青いというかなんか緑っぽい。

海苔とかホウレンソウでも釣れるらしい。野菜好き。

アオブダイ

スズキ系ベラ亜目ブダイ科アオブダイ属。

基準種のブダイとは属が違い、粒々した小さな歯がたくさん並んでいるブダイに対して青ブダイの歯は上下二枚ずつの歯が中央で癒合してオウムの嘴の様になっており、噛まれると人の指などは噛みちぎられる程の力があります。

体内にパリトキシン様毒(パリトキシンではないが、それに類似した毒)を持ち、フグ毒よりも強い毒を持つことがあるので食用には出来ません。ただ、この毒は蓄積毒なので、餌とする固着物に渦鞭毛藻が無い海域や、固着物を食べられるようになるまでの小さなサイズなら中ることも無いように思います。が、食べるなら自己責任でお願いします。釣り味としてはヒブダイとブダイの間を三分割してその三分の一位の強さといいますか、見た目のとおり、遊泳力は大したこと無いので一撃を交わせばあとは重たく遅い引きなので意外と大きな物もキャッチ出来ます。

これは60cm後半あった

ヒブダイ

スズキ系ベラ亜目ブダイ科アオブダイ属。

アオブダイと同じ属なので、歯も同じようなオウムの嘴。尾びれは湾曲し、遊泳力は高く、瞬発力もアオブダイの比ではない。おそらくブダイ科の魚の中で1、2を争う瞬発力でいくつもの仕掛けがこの魚に瞬殺されていることと思います。

これとウツボは磯際攻めの税金と毛嫌いされている節がありますが、僕は大好きですね。

というのが前述の釣り味の良さに加えて、その食味もブダイ科ナンバーワンと言われる味の良さ。

ヒブダイの身はタンパクで、ほろほろとほぐれて潰せば細い繊維になるタイプで、脂こそ乗らないものの、この繊細な繊維の中に旨味がしっかりジューシーに閉じ込められます。なので加熱調理がその魅力を最大限に生かす調理法だと思います。当然皮は付けたままが最高。脂分がないので油を補うと更に美味しいので天ぷらとかフライとかムニエルで輝きます。逆に刺身とかはそれほど魅力的だとは思えないですね。

80cm6.5kgをフカセ釣りで上げる事は二度と無いかも知れない。うちの子より大きかった。

オスは下記のナガブダイと良く似てますが顔つきの角度や極彩色の配色、背鰭のオレンジの入り方等が少し違います。

ナガブダイ

スズキ系ベラ亜目ブダイ科アオブダイ属。

他のブダイに比べて頭が長く、尾の両端が長いため湾曲も深い。ヒブダイが頭から口の先までなだらかなカーブを描くのに対してナガブダイは頭から口の先までまっすぐ伸び、口先に向かって柔らかく直角に折れ曲がります。尾筒がヒブダイと同じくらいの太さで、より長く、尾びれの面積も大きいため同じさいずならヒブダイと同じか強い遊泳力を持ちます。

メスは真っ赤でオスは綺麗なティファニーブルーに染まる。オスはヒブダイのオスとよく似ているのですが、顔つきと背鰭の模様の乗りかた、尾びれの長さ等が違います。

72cm6kg。つり上げた時の綺麗さたるや感動もの。

参考:ヒブダイは頭から嘴に下るラインが鈍角。

基本型にヒブダイに近い食味で美味しいですが、頭が長く大きく、尾筒と尻尾も長いため数字上の見かけよりは歩留まりが悪い。とはいえ成魚はかなりの大型魚なので冷凍庫はパンパンになる。

他にも居るんだろうなぁ

まだ釣ってないけど他のブダイが。個人的には通称信号機と呼ばれる上記のナガブダイを除く三種は凄い数釣っていると思います。

結果的にバンドウハンターとしてはそれら以外のブダイっていうのも釣り味や食味が気になりますね。

バンドウってなんぞ

バンドウ、バンド等、愛南の方ではアオブダイ属の魚をそう呼びます。他にもカンムリベラ等もカラスバンドウと呼んだり、バンドウという概念がよくわかりません。

この語源が凄く気になるところではあるんですが、ネット調べた限りではその語源にたどり着くことは出来ませんでした。

歌舞伎の半道から来ている様な気もするし(ハンドウイルカと同じ語源)、英語のbandから来ている気もするし。真相はまた船頭にでも聞いてみるとしますかね。

もっとバンドウに脚光を浴びせたい

これほど美味しくて釣り味も良く、大きくて食べ出のある魚が日の目を見ていないのがもったいないなと思います。

沖縄なんかだと重要な食用魚ですが、一般認知されているかといえばそうではなく、地方での嗜好が主。結構鮮度落ちもお腹とエラさえ落とせば早くないし、気になる匂いも皆無。小骨も無く食べやすいので個人的には満点なんですが近縁種に有毒化する可能性のある種が居たり、似ていたりと確かにリスクが隣り合わせという点では注意が必要な魚ではある。岩礁に住む魚なので大量捕獲も難しい。極彩色過ぎて食欲が失せる。そういった点が流通に乗りにくい理由なんでしょう。

そういう意味では釣り人こそ、この魚の魅力を一番感じられる場所にいるような気もします。

なので是非とも一度釣れたら食べてみてほしいなと思いますね。4号フロロ使えば80cmでも獲れます！笑