刺毒は人生三度目

中学生位のとき、堤防からのサビキだったか胴突きだったかに掛かったハオコゼを外そうとしたら地面からジャンプされて刺さったのが一度目。

何かのときにカサゴつかもうとしてやられたのが二度目。

そして今回、アイゴを針から外そうとしてやられた三回目。

ハオコゼ、カサゴ、アイゴの毒を人生で経験してきました。メジャー所だとゴンズイとアカエイは未体験です。

そんな結果的に刺毒彼検体の僕が刺毒について考えてみました。

刺されてない左手(参考)

やられた右手

どれか一番辛いか

初めてのハオコゼはほんと痛くて、これは手に心臓が出来たんちゃうか？と思うほど脈に同期してズッキンズッキンしてました。痛くて笑えるくらい痛かったですね。

二度目のカサゴはジクジク痛く、ちょっとズッキンズッキンした感じもあってまぁ我慢出来るけどいや、カサゴは絶対無毒じゃねぇ！と思うくらいには痛かった記憶。

今回のアイゴは先の記事のとおり、もう釣りするやる気が一気に０になる位痛いです。あーもう一時間布団で横になりたーい。って思うくらいやる気が無くなる痛さ。腫れる範囲も過去イチで、親指刺されたのに手の甲まで腫れました。

ということで個人的に毒の強さをランク付けするなら、カサゴ＜＜ハオコゼ≦アイゴ

でしょうか。

あと、この毒、刺される位置によってもかなり感じ方が違うと思う。

神経が張り巡らされている手のひらとかは手の甲に比べて倍は痛い気がする。

参考。日焼けしたけど普段の拳

親指刺されたのになんやかんやで手の甲まで腫れた

アイゴの毒って、なんなん？

と思って色々調べてみました。

だいたいの釣り系まとめblogとか「タンパク質毒です。詳しいことは不明です。刺されないように気をつけて」的な言い回しされてる事が多いんですが、

んな訳なかろ！世の中の誰かがきっとワケわからん研究をしてるもんだ！

と、調べてみたら東京海洋大学の先生が書かれた論文などがありました。それによると…

なぜ詳しいことは不明。なのか

魚介類のたんぱく質毒が極めて不安定な性質を持ち、①死魚からは毒性が検出されず、②冷凍または冷蔵で毒性を失うそうで、それゆえ「不安定な」性質とされているそうです。

はぇー。でも死んだ後のアイゴなんかでも毒はあるから云々って言われてた気がするけどなぁ。死後は「検出されない≠毒性がない」ですが、冷蔵や冷凍で毒性を失うのが本当ならもう一度持って帰って料理中に刺される必要がある…のか(怖

毒成分は？

論文によると、アイゴの持つ毒は、一部のカサゴが持つネオベルコトキシン様毒と呼ばれる毒だそうです。

ネオベルコトキシンはneoverrucotoxinと書き、オニダルマオコゼ(学名:Synanceia verrucosa)の名が一部付いているように、元々はオコゼの持つ毒の正体として解明された毒ですが、アイゴや一部のカサゴはこのネオベルコトキシンによく似た、ネオベルコトキシン様毒を持っていることが判明しており、この毒はマウスの致死活性、ウサギ赤血球の溶血活性等を持っていることがわかっており、なるほどアイゴに刺された箇所がなかなか血が止まらなかったのは、この毒の効果によるのもありそうです。深く刺さったのもあるけど。

また、カサゴとアイゴでは、毒の活性に関わるアミノ酸が一部違う所があり、これが毒性の違いに影響していると推測されており、この辺りに刺されたときのしんどさの違いがありそうです。

また、別に刺毒にはヒアルロニターゼというヒアルロン酸の加水分解酵素も混ざっているようで、これ自体が毒であるものではないのですが、ヘビやハチやサソリの毒にも含まれており、これが細胞組織のヒアルロン酸を分解することで細胞組織の軟化や破壊を促し刺毒の拡散に影響しているとの事で、ヘビやハチではその毒に含まれるヒアルロニターゼがアナフィラキシーのアレルゲンと報告されている事から、魚の刺毒に含まれるヒアルロニターゼがアナフィラキシーのアレルゲンと報告される可能性もあると言うこと。なるほど指刺されて手の甲が腫れるわけだわ。てかアイゴに二度刺されたら一度目より酷いことになるんだろうか…

〈参考文献〉

https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/83/5/83_WA2442-7/_pdf

http://dokuso-symposium.bio.tokushima-u.ac.jp/program/65th-abstract/65th-Y.html

刺されたら？

まずは刺された場所の少し心臓側を釣糸で少し強めに縛って、毒の混ざった血を吸出してから、ホットコーヒーの缶なんかで暖めるのが良いと思いますね。

死ぬような毒じゃないんで、とりあえず吸出して毒の濃度を下げること、毒がまわる範囲を最小限にすること、それからたんぱく質毒を変性させるための熱を加えることでかなり影響は小さくなると思いますね。

磯なんかだと取れる手段が限られちゃいますけど、僕は患部の毒を吸いだしたんですが、三時間程度で腫れてるけどなんとかなる程度まで落ち着きました。影響も手の甲くらいまでで収まった感じ。指を扉ではさんだ後のような痛みがまだ残ってますが…

翌日談

全然腫れが退いてない！笑

笑えるくらいそのまんま。これは毒が残っているというか、そもそも細胞レベルで毒と酵素によってダメージが残っているか、アイゴの体に付いていた細菌で炎症を起こしているかだと思われます。日常生活的には問題ないですが、親指の屈曲がかなり制限されるので不便ですね。

アイゴの刺毒について