先日大好きなバンドマンと朝まで飲んでたとき、そいつが強い芯のある声で「がむしゃらにバンドやりたいだけやねん、俺」って言った。
何かが身体を走った。
グラスを持ったまま少し時間が止まった気がした。
32歳のそいつはまっすぐ前を見て呟いた。
なんか眩しかった。
そいつはバンドで飯を食って、何千人ものファンを熱狂させてる。
そいつからそんな台詞を聞くと思っていなかった。
まだ、もっともっとがむしゃらになりたいんだ。って。
僕はこの二年、がむしゃらだったと思う。
バンド以外の事に。
二年ちょっと前に僕は、沢山考え、沢山悩み、ある決断をした。
沢山の人に迷惑をかけ、沢山の人に協力をしてもらい、沢山の人に自分の想いを吐いた。
その結果、誰かを裏切る結果になった。
とても苦しかったけど、自分のやりたい事を信じて、後悔の無いよう音楽を、バンドを精一杯頑張れる環境を整える事に挑戦をしてみようと決意した。
それは今の目標よりもっと先の自分の「夢」に向かって進むには必要な事で、必要な試練だとも思った。
これをクリア出来なければ、ずっと先の「夢」はかなえる事が出来てもその目の前のこの目標を達成出来なければ今の理想とずれてしまう。
それでずっと先の「夢」をかなえても、それは今の僕の理想とは違う。
後悔が必ず残る。
そう考えて挑戦を決めた。
応援してくれる人、協力してくれる人、一緒に作る人。
沢山の人に支えられて。
それで僕はこの二年はがむしゃらにやって来れた。
その時間の中で、大事な物を忘れかけていたのかもしれない。
何の為に、誰の為に、この二年を駆け抜けたのか、がむしゃらになっていたのか。
この二年のがむしゃらは何をかなえる為のがむしゃらで、本当にがむしゃらになりたいものが何だったのか、大事な事を今の時間の流れに慣れすぎて見失っていたのかもしれない。
「このままでいいんじゃない?」
ってなんとなく思ってしまっていたのかもしれない。
環境のせいにして、少し疲れていたのかもしれない。
このままじゃいけない。
二年前、必ず来る事が解っていて、壊すつもりでいたこの壁が今やっと目の前に現れたのに、なにを見て見ぬ振りをしようとしていたんだろう。
本末転倒。
本当に必要な物を守るため、足枷になる物を切って自分も傷付いたのに、このままだとその時に守りたかったものを今回失う事になる。
何をやりたかったのか。
今こそこの壁を壊すべき時。
やっとバッターボックスに入れるのに。
今まで、この最後かもしれない打席でしっかりと結果を残せるようにと散々素振りをしてきたのに、ネクストバッターズサークルに入っただけでビビってる自分がいる。
打てる自信がないのか、三振して尻もちついて笑われるのが怖いのか。
三振したって、ヒット打ったって、ホームラン打ったって、自分の人生は続く。
むしろココからの方が長いのに。
ずっとベンチで暖めて来た物をそんな感情で無駄にするのか。
いい加減重たいケツをあげてぶっ壊さなきゃ。
何も変わらない。
今を変えなきゃ。
その変化さえ応援してくれている人がいるのに、自分だけじゃなく、その人さえ裏切るのか?
年齢が問題なんかじゃない。
環境なんて自分で変えればいい。
笑われればいい。
バカにされればいい。
もうまともな感覚なんて持ち合わせてない。
自分の感性を信じて。
やりたいようにやってきたつもりが、一番やりたい事をやりたいようになんて今まで一度もやったことなんてない。
ワガママと言われる事を怖がってる。
他人の器を勝手に僕が決めるんじゃない。
僕のワガママを、「我がまま」に吐いてみればいい。
もうタメ息と一緒に吐き出すのは辞めなきゃ。
何を言われようと僕の人生。僕の時間。僕の夢。
僕が僕である為に、僕が気付き、僕が立ち上がらないと何も変わりはしない。
他人に甘えて、他人の時間を自分に重ねて。
自分の努力が報われないのは誰のせいでもない。
だって、まだ挑戦さえしていないんだから。
小さな勘違いが時間をかけて大きな歪みに変わる前に。
て、言ったら今しかない!!